Will you marry me? 〜エリート建築士は策士な旦那様でした〜
「もういい?」
そう聞こえたと同時に、私は手を引かれ彼の腕の中に囲われる。お互いの素肌が触れ合いドキドキする反面、彼の体温と温かい湯が心地いい。
後ろから抱きしめられるような恰好で、ふたりで手を重ねる。
「小さな手」
「そうですか? 普通だと思いますよ」
「かわいい」
サラリとこういうセリフを言う彼は、本当にずるい。濡れた私の指を一本一本なぞるように触れながら謙太郎さんはそう口にする。
完全に愛さていると錯覚するほど、甘やかされている気がする。
謙太郎さんも私のことを少しは好きになってきてくれたのだろうか。