神様、僕に妹を下さい

Act.101 サイド晶(あきら)

 日曜日の朝、お母さんに起こされると同時に、ピンク色のキャミソールのワンピースと白のカーデガンを渡された

 「今日はこれに着替えて」

 「え?」

 頭がぼーっとする私は、人形の様に着替えさせられ鏡台前に座らされた

 昨日はよく眠ったおかげで目はスッキリしているけど、痣は相変わらず強調されている

 「んー。なんとかなりそうね」
 私の痣を抑えながら、お母さんは呟くと、ベタベタと顔にクリームを塗り始めた

 化粧、どくとくの嫌な匂いが鼻つく

 「何するの?やめてよ」

 「そんな顔じゃ、響さんに会えないでしょ」

 「どういう意味?」

 「あら、言ってなかったかしら?晶ちゃんはこれから響さんとデートするの」

 な・・なんですと!?

 「どうして勝手に決めちゃうの?こんな姿で行けないでしょ」
 
 「お母さんだって、まさかそんな姿になってるなんて思わないわよ。大丈夫、見た目分からないから」

 確かに、ファンデーションを塗られたら、痣は隠れてるけど・・
 これなら、皇兄も気付かないかな?

 「本当に?でも今日は出かける気分じゃないんだけど・・」
 正面・右向き・左向きと顔の角度を変えて痣を凝視をする

 「もう、この子は!約束の時間が来ているのよ。ごちゃごちゃ言うんだったら、皇ちゃんに言うわよ」

 「な・・!!」
 今度は私が脅される番だった。学校でケンカしたなんて、皇兄に言われるのは困る

 「わかった・・わよ」
 渋々返事をして、まじまじと自分の姿を見た
 ピンク色のワンピースは、お父さんの趣味だなきっと。甘甘のお父さんはいつも赤系統の服を私に着せたがる

 私的には青系統・・ワンピースならそう、フォルターネックで水色のワンピース。すそのぼかした白の水玉がお気に入り♪

 あれに着替えたらだめかなぁ。よし、勝手に着替えちゃお
 そう決めて立上がろうとした時、皇兄が部屋のドア口に立って鏡越しに私を見ていた

 「こ・・皇兄!」
 やだ、いつから見ていたの?まさか、皇兄に言ったの!お母さん

 皇兄に目が合わせられない。痣も見られたくない。
 私は出来るだけ下を向き、鏡台の下にある自分の足のつま先を見た

 皇兄はの気配がゆっくりと私の後ろに近づいてくる
 トサッ。皇兄が床にひざをついた音に静かに目を閉じた
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