神様、僕に妹を下さい

Act.125 サイド晶(あきら)

 皇兄の見通すような眼差しが怖い

 「や・・見ないで、私、おかしいの」
 お願いだから、今の私を見ないで!

 携帯の・・皇兄の画像を見てから、それが頭から離れなく・・て
 
 思わず伸びた手が皇兄の腕を掴もうとし、その腕に赤い斑点を見つけ引っ込めた

 「おかしいって、顔の痣の事か?それなら全然ー」

 顔の痣?そんな事、当に頭の中から消えていた

 「違うの。私知らなくて、見るつもりもなかったのに目が離せなくて、そしたら頭の中から消えなくて、皇兄の事・・」

 キスシーンが頭から離れない

 それと同時に蕁麻疹が身体中に現れた

 「おまえ、蕁麻疹が・・」
 皇兄も私の身体の異変に気がついてしまったよう
 
 ポツンと小さく現れた点は、やがて波紋となり、私の皮膚を赤く染めて行く
 
 「はぁ、だめだ。治まんない。さっきより酷くなっている」
 腕の蕁麻疹を手で押さえながら、ヨロヨロと立上がった

 本物の皇兄に会ったせいで、余計に触発されたせいだ

 考えない様にしているのに、想像してしまう

 皇兄のキスって、どんな感じなんだろう・・て

 想ってしまう。『皇兄とキスしてみたい』・・て

 何考えてるの。私

 こんな感情を抱くなんて、皇兄とは兄妹なのに

 「オレの事って何?」

 「え?」

 「さっき、オレの事で言葉が止まっただろ」

 あ・・・

 さっき、思わず言ってしまう所だった。『皇兄の事・・意識してしまう』・・と

 「・・言えない。聞いたらきっと皇兄、私のこと・・避けるよ」

 避けられて、口も利いてもらえないどころか、もう二度と・・

 「そんなの、聞いてみないと分からないだろ」
 
 皇兄の言う事はもっともだと思う。判断するのは皇兄

 でも、なんて言えばいいの?公園で隠れて見てしまったと言える?

 「いや、言い方が悪いな。何を聞いても、オレはお前を避けないよ」
 言葉に詰まっている私に、皇兄の言葉がやさしく響いた

 「皇兄・・」
 温かい言葉がうれしくて、皇兄の広い胸の中に顔をうずめる
 
 皇兄の腕が私の背中に伸びて、私を抱きとめた
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