神様、僕に妹を下さい

Act.135 サイド晶(あきら)

中庭から、遠ざかるにつれて耳先の熱は徐々に退き始めた

 私の中に1つの疑惑が生まれる

 もしかして・・私・・変な病気にかかっているのかもしれないと

 動機、息切れ、めまいはないけど、薬のCMでの症状が出ている

 皇兄とキスしてみたいという愚かな考えも、病気が私の脳を侵食しているせいかもしれない

 「で・・も、どうやって治るの・・?」
 家ででも、ゆっくり眠れば治るかな?昨日は熱っぽくって眠れなかったから、今からでもすぐに帰って眠れば・・

 教室に戻り、椅子にかけてあるリュックを肩にかけ隣の桜場の席を見た

 「桜場、ごめんね」
 今頃桜場、皇兄に何か言われてるんだろうなぁ

 部活も行きたいだろうに、結果的に庭掃除を押し付けてしまった

 「約束通り、コピーだけはしておくからね」
 桜場の机のうえに置かれてある古文のプリントを抱え、職員室に向かった

 コピー機は職員室のとなりの雑務室にある
 
 ただ使用する時は職員室によって。コピー機の使用カードキーをもらわないと使えないようになっている

 「失礼します」
 ガラッと引き戸を開け
 「コピー機のカード借りにきました」
 と声をかけた
 放課後の職員室は、先生はほとんど出払らっていて、名前の知らないおじいさん先生?が私の顔をみて、ゆっくりうなずいた

 まぁ、一応断わったんだし、いいよね

 つかつかとカードキーのある棚に行くと、貸出簿に記入し、カードを手に取った。と同時に書棚の奥のソファセットから、注意されているような声が聞こえてきた

 「この声?」
 聞き覚えのある声

 そのまま立ち止まって見ていると、手に丸めて持ったプリントで自分の頭をポンポンと叩きながら不機嫌そうに出てくる男の人の姿があった

 「・・たく、細かいやっちゃ。こんなもん書かせたって無意味やっちゅうに」

 テンポの良い関西弁

 「会長さん?」

 「わわっ!『もも』」
 私が声をかけると、驚きのあまりか、手の中のプリントがくしゃくしゃになった

 「なんで、こんなとこにおるんや。また、何かしでかしたんか!俺でも、もうかばいきれへんで。こっちに来い」

 「やらかしたって、そんな私はー」
 カードキーを借りに来たのだと言わせてもらえず、軽々と会長さんに抱きかかえられ、職員室を出るはめとなった
< 135 / 350 >

この作品をシェア

pagetop