神様、僕に妹を下さい

Act.146 サイド晶(あきら)

カチャッ。パタン

 部屋の外で、ドアを開ける音が静かに響いた

 「ふぇ、何時?」

 腕時計を見ると、23時過ぎ

 「皇にぃ、帰ってきた?」

 皇兄が帰って来るのを音で分かるように、部屋のドアを数センチ開けておいた

 私には、確かめなければいけない事がある

 ここ、2日ばかし私の体調がおかしい
 きっかけは偶然、皇兄のキスシーンを見てしまったから

 皇兄の姿を見ると、心臓が激しく打って、熱くなって、身体に蕁麻疹が出るようになった
 
 変な病気になのではないかと、同じ症状の生徒会長さんに相談すると

『それは病気やのうて、恋心が原因なんだと、気付き』
                 
・・・・と言われてしまう

でも、でも
そんな事、あるはずが無いの

だって、その相手が1つ上の兄・皇兄なのだと気付かされて・・いや、私は認めてなくて

 だから、これが恋ではないと言う事を
 
 今夜 私は確かめる

いつまでも皇兄を避けるのにも限界がある

早く、元に戻りたい



 ベットから起き上がり、部屋を出て、皇兄の部屋の前に立ち尽くした

 ノックしようとする手を止めて、肩から息をついた

 これが、恋なのか試す方法を会長さんから、伝授してもらった

 それは、ごくごく簡単なこと
 
『恋していると思う相手の顔を、5分見ること』

 聞いたときは、『なーんだ。それだけ』と思った

 だって、要は皇兄の顔を見るだけでいいってことだよね。ご飯を食べる時だって、皇兄はテーブルの向かいだもの

「うーん。やっぱり、今更だよなぁ」

 ポリポリと頭をかいて、首をひねる

 用もないのに、皇兄に会って、じ~って顔を見つめるの?

 それとも、『5分だけ顔を見てもいい?』て聞く?

 それこそどっちも、不自然

 皇兄の事だから、当然『なんで?』と尋ねて来るに違いない 

 まさか・・『恋しているかどうか確かめたくて』とは言えない

 それに昨日、私を心配してくれた皇兄を撥ね付けた

もう、『見守ってくれなくていい』と言いと一方的に私から言ってしまったから


だから、正攻法で皇兄に会う事は出来ない

 顔を見るのって、起きてる時じゃなくても大丈夫だよ・・ね?

 取り合えずそう納得し、皇兄が眠ってから実行に移そうと、部屋に逆戻りした

今夜、ちゃんと確かめて、皇兄に謝れたらいいな

そしてちゃんと伝えないと

私は本当に大丈夫だから、彼女さんを大事にしてあげてって
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