神様、僕に妹を下さい
Act.158 サイド晶(あきら)
ガシャン
バスケットボールが金網に当たり、タン・タン・タンと跳ねて私の足元に転がってきた
「今日のお昼は、親・子・丼♪」
・・という鼻歌交じりでボールを拾いに来たのは、クラスメイトの桜場
「オッス。早いじゃんよ。お前にしては」
「桜場もね」
ここは、校庭内にあるバスケットコート
私はその側にあるベンチに腰掛けていた
桜場はくるくると指でボールを回すと、私の隣に座った
「珍しいね。サッカーしかしないのかと思ってた」
「今日の体育、2年とバスケの試合なんだ。やるからには、負けたくないしな」
ニッと笑う桜場の表情は、あどけなさを残しつつ、男の顔になっている
「ね、お昼は親子丼・・てどういう意味?」
学食はあるけれど、親子丼というメニューはなかったはず
出前でもとる気なのかな
「お前っ」
私の質問に桜場はベンチの背もたれに仰け反った
「冗談・・で言ってんだよな?」
「?」
「ま・・じ?俺達がバスケをしている間、女子が調理実習で親子丼を作ってくれるはずだろ」
「あっ・・」
そう言えば、そんな事を言っていたような・・・
すっかり、忘れてた
忘れてたついでに、鶏肉も持ってこなかった
「まずい。鶏肉」
「まさか・・忘れたのかよ、鶏肉。お前なぁ、俺んち魚屋だから肉が滅多に出ないんだぜ。だから俺は今日と言う日を楽しみに・・くそっ、親子丼に鶏肉がなかったら、子丼になってしまうだろ」
身振り手振りで『子丼』を説明する桜場に私は笑みがこぼれた
「どうしよう。こんな朝早く、スーパーなんてやってないよね」
コンビニに鶏肉なって、売ってるわけがない
「ぎりぎりだな」
桜場は立ち上がり、腕時計を見てつぶやいた
「俺んちの隣、肉屋だから分けてもらえるかもしれない。自転車借りてくるから、ここで待ってろ」
2分も過ぎないうちに桜場は自転車を借りてくると、私を後ろに乗せた
「ちょっと飛ばすから、俺にしがみついてろよ」
「うん」
「あと、Tシャツは着替えてきたから・・その」
「ん?」
「俺の背中貸すから、それ拭えよ」
それと呼ばれたものは、私の涙で・・
会った時から涙を流している私に、それに触れずに会話をしてくれる桜場に感謝した
バスケットボールが金網に当たり、タン・タン・タンと跳ねて私の足元に転がってきた
「今日のお昼は、親・子・丼♪」
・・という鼻歌交じりでボールを拾いに来たのは、クラスメイトの桜場
「オッス。早いじゃんよ。お前にしては」
「桜場もね」
ここは、校庭内にあるバスケットコート
私はその側にあるベンチに腰掛けていた
桜場はくるくると指でボールを回すと、私の隣に座った
「珍しいね。サッカーしかしないのかと思ってた」
「今日の体育、2年とバスケの試合なんだ。やるからには、負けたくないしな」
ニッと笑う桜場の表情は、あどけなさを残しつつ、男の顔になっている
「ね、お昼は親子丼・・てどういう意味?」
学食はあるけれど、親子丼というメニューはなかったはず
出前でもとる気なのかな
「お前っ」
私の質問に桜場はベンチの背もたれに仰け反った
「冗談・・で言ってんだよな?」
「?」
「ま・・じ?俺達がバスケをしている間、女子が調理実習で親子丼を作ってくれるはずだろ」
「あっ・・」
そう言えば、そんな事を言っていたような・・・
すっかり、忘れてた
忘れてたついでに、鶏肉も持ってこなかった
「まずい。鶏肉」
「まさか・・忘れたのかよ、鶏肉。お前なぁ、俺んち魚屋だから肉が滅多に出ないんだぜ。だから俺は今日と言う日を楽しみに・・くそっ、親子丼に鶏肉がなかったら、子丼になってしまうだろ」
身振り手振りで『子丼』を説明する桜場に私は笑みがこぼれた
「どうしよう。こんな朝早く、スーパーなんてやってないよね」
コンビニに鶏肉なって、売ってるわけがない
「ぎりぎりだな」
桜場は立ち上がり、腕時計を見てつぶやいた
「俺んちの隣、肉屋だから分けてもらえるかもしれない。自転車借りてくるから、ここで待ってろ」
2分も過ぎないうちに桜場は自転車を借りてくると、私を後ろに乗せた
「ちょっと飛ばすから、俺にしがみついてろよ」
「うん」
「あと、Tシャツは着替えてきたから・・その」
「ん?」
「俺の背中貸すから、それ拭えよ」
それと呼ばれたものは、私の涙で・・
会った時から涙を流している私に、それに触れずに会話をしてくれる桜場に感謝した