神様、僕に妹を下さい

Act.165 サイド皇紀(こうき)

マロンショコラの髪の色・・?つまり栗色ってことか

 「かわいそう、せっかく綺麗な髪色なのに、あのお堅い風紀委員長に目をつけられたらお終いだな。もう少し、髪色を抑えるなり、検査前にスプレーで黒く染めるなり方法があるのに」

 五十嵐の髪色が、いつもより違って見えたのは、光の加減のせいかと思っていたが、そうではないらしい

 こいつが風紀委員に入った理由は、この検査の日程を知る為でもあるのか

 「1年だから、まだ要領が判ってないんだな。あとで、俺が手取り足取り教えてあげよっ。もちろん女の子の方だけ♪」

 五十嵐のウキウキした独り言?を横で聞きながら、オレは、自分の列の生徒の生徒手帳に違反のハンコを押していた

 「次、スカート丈が少し短いな。この場で直せるのなら行っていいが」
 
 違う事を口走りながら、栗色の髪色と言うだけで、なぜ晶だと考えてしまうのだろう
 そうと、決まった訳ではないのに

 「皇紀・・?」
 オレの様子のおかしさに、五十嵐が疑問符を投げかけてきた
 晶の顔を知らない、五十嵐に、確かめてもらう方法はひとつ
 
 「五十嵐、その栗色の髪の方、左腕に男物の腕時計をしてないか?」

 そう、白い文字盤で男物の・・

 「してる。細い手首に手錠のような・・・」
 沈黙がしばらく続き・・

 「・・・誰かさんとオソロの腕時計」
 五十嵐に腕時計を指差され、急いでテーブルの下に隠した

 「へぇ、あれがねぇ」

 「あまり、見るな」

 「いいの?お姫様は大分お困りの様ですよ。王子様」

 「あぁ今、行って・・」

 「おっと、急展開、お姫様に騎士(ナイト)登場」

 騎士?

 「騎士(ナイト)君、こっちに来るみたいよん」

 五十嵐の言葉の後に、女子の群れをかき分け、オレの前にTシャツ姿の男が立った

 「先輩」

 「桜場」

 さっきの怒鳴り声・・こいつの・・か
 
 「お前、制服は?違反になるだろ」
  
 「そんな事より先輩、あいつ・・晶が、髪の色で風紀に捕まって大変なんだ。生まれつきだと言っても、信じてもらえない。だから、一緒に来て誤解を解いてほしいんだ」

 桜場が、晶を呼び捨てしたのを聞いて、ピクンとこめかみが引きつった
 
 晶の為に、ストレートにぶつかって行ける桜場を見ていると、嫉妬心が生まれてくる
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