神様、僕に妹を下さい
Act.017 サイド皇紀(こうき)
「母さん、行ってくる」
オレは取る物もとらず、家を飛び出していた
頭の中で、母さんの言葉がこだまする
『晶ちゃん、きっと好きな人が出来たのよ』
好きな奴って冗談だろ?
『朝一で差入れあげるみたいよ』
差入れって・・何を・・
「ゲホッ ゲホッ ハァ、ハァ、ハァ」
体力の限界まで走って、次第に速度が落ちていった
額からこめかみを伝い、汗がシャツの中に流れ込んでくるのが解かる
「ハァ、ハァ、・・けんな」
握った掌に爪が突き刺さる
「・・ふざけんな!」
ふざけんなよ。晶・・・・・
ズルズルと電信柱に寄りかかりながら、身体が地面に崩れ落ちる
オレに・・オレに、名前も知らない男に差入れするチーズケーキの味見をさせたのかよ
『 どうしても今日味見してもらいたかったの 』
『 ありがと。皇兄 』
昨日の晶の言葉を思い出す
あぁ、道理でオレに味見をせかしたわけだ
すべてはこの時のために
喉の奥から熱いものが込み上げてくる
走ったって、もう晶には追いつけない
追いついても、何も出来ない
「こ・う・き 何こんな所で、座り込んでんだよ」
「・・・・るせ」
「汗だくで、青春日記でもしてるつもり?似合わねー」
「うるさい」
オレにかまうな
「立てよ」
五十嵐はオレの腕を掴み、引き上げた
「あーぁ、折角の美形が台無しだな。俺の部屋来いよ、そのカッコじゃ学校行けないだろ」
のろのろと引きずられる様に、五十嵐の部屋に連れて行かれた
「着替えろよ。一人で出来ないんなら、俺が着替えさせてやろうか?」
五十嵐は悪戯っぽく笑った
「自分でやる」
俺はネクタイを外すと、シャツを脱ぎ捨て、真新しいシャツに着替える
「何があったか知らないけど、皇紀らくしねーんじゃねぇの?」
窓の桟に腰掛け、片膝をかかえた五十嵐は目を細めてオレを見た
「オレらしいって、なんだよ」
「少なくとも、俺の知ってる皇紀は、手に入れられないものは無い絶対的な自信があって、最初から諦めない奴って事」
「何が言いたい?」
「上手く言えないけど、最近、守りに入ってばっかで、攻めてないんじゃねーの??」
五十嵐は肩をすくめ、窓の外を見た
オレは取る物もとらず、家を飛び出していた
頭の中で、母さんの言葉がこだまする
『晶ちゃん、きっと好きな人が出来たのよ』
好きな奴って冗談だろ?
『朝一で差入れあげるみたいよ』
差入れって・・何を・・
「ゲホッ ゲホッ ハァ、ハァ、ハァ」
体力の限界まで走って、次第に速度が落ちていった
額からこめかみを伝い、汗がシャツの中に流れ込んでくるのが解かる
「ハァ、ハァ、・・けんな」
握った掌に爪が突き刺さる
「・・ふざけんな!」
ふざけんなよ。晶・・・・・
ズルズルと電信柱に寄りかかりながら、身体が地面に崩れ落ちる
オレに・・オレに、名前も知らない男に差入れするチーズケーキの味見をさせたのかよ
『 どうしても今日味見してもらいたかったの 』
『 ありがと。皇兄 』
昨日の晶の言葉を思い出す
あぁ、道理でオレに味見をせかしたわけだ
すべてはこの時のために
喉の奥から熱いものが込み上げてくる
走ったって、もう晶には追いつけない
追いついても、何も出来ない
「こ・う・き 何こんな所で、座り込んでんだよ」
「・・・・るせ」
「汗だくで、青春日記でもしてるつもり?似合わねー」
「うるさい」
オレにかまうな
「立てよ」
五十嵐はオレの腕を掴み、引き上げた
「あーぁ、折角の美形が台無しだな。俺の部屋来いよ、そのカッコじゃ学校行けないだろ」
のろのろと引きずられる様に、五十嵐の部屋に連れて行かれた
「着替えろよ。一人で出来ないんなら、俺が着替えさせてやろうか?」
五十嵐は悪戯っぽく笑った
「自分でやる」
俺はネクタイを外すと、シャツを脱ぎ捨て、真新しいシャツに着替える
「何があったか知らないけど、皇紀らくしねーんじゃねぇの?」
窓の桟に腰掛け、片膝をかかえた五十嵐は目を細めてオレを見た
「オレらしいって、なんだよ」
「少なくとも、俺の知ってる皇紀は、手に入れられないものは無い絶対的な自信があって、最初から諦めない奴って事」
「何が言いたい?」
「上手く言えないけど、最近、守りに入ってばっかで、攻めてないんじゃねーの??」
五十嵐は肩をすくめ、窓の外を見た