神様、僕に妹を下さい
Act.170 サイド皇紀(こうき)
「お前ら~。次、体育だぜ」
「あー俺と、皇紀パスな。適当に言っといて」
クラスメイトの誘いに、五十嵐がひらひらと手を振って答えた
「勝手にパスしたけど、よかったしょ」
五十嵐の問いに、軽くうなづくも、すぐに机にうつ伏せた
「あのさぁ、後で後悔するんなら、あんな事言わなきゃいいしょ」
「・・・」
「はぁ・・いったい、王子様はどうすれば立ち直るんですか?」
「五十嵐・・オレ、最低だな」
「まっ・・1年坊主に嫉妬して、肝心のお姫様の事を全然考えてなかったからな。あの1年坊主の言葉のほうが聞いてて気持ちよかったし」
晶の髪を守ろうとする、桜場の言葉はオレの胸にも響いた
「いいのか?このままだとお姫様、髪を黒く染めてくるよ。俺が言わなくても、皇紀が1番わかってると思うけど」
あぁ、わかっている
晶の、凛とした瞳は・・覚悟を決めた時のものだ
『皇兄、どうして晶の髪は黒くないの?』
小学4年の時に、晶がオレに投げかけた質問
晶の髪が特に目立ち始めてきたのは、その頃辺りからだ
オレ所にも、色々ウワサが入ってきていた
“あんな色に染めて、親は何をかんがえているのか”
“子供が可愛そう”
などの批難や同情の声。それを父兄たちが言っているのだから性質が悪い
『また、誰かに何か言われたのか?』
公園のコンクリートで作られた洞穴の中で、膝を抱えている晶の姿を見つけ出すと、隣に腰掛けた
ここは、辛い事や悲しい事があった時に、晶が逃げ出す場所
他人の言う事など気にするなと、何度晶に言っただろう
『みんな・・晶が、もらわれっ子だって。皇兄の妹じゃないって。だから晶・・晶ね』
コツンと足元に、床についていた手に堅いものが当たった
拾い上げると、墨と書かれてあるプラツチック容器と黒色の絵の具
『まさか!?お前!』
晶の髪に触れると、どろどろとした黒い液体が滴り落ちた
『何てことしたんだ!』
急いで晶を家に連れ帰り、風呂場でまだらになった晶の髪を洗い流す
『もう、こんなバカな事・・』
『それでも、黒くしたら皇兄の妹だって・・』
黒く染まったお湯が、排水口に流れていくのを見ながら、晶が大粒の涙を流していたのを今でも鮮明に覚えている
「あー俺と、皇紀パスな。適当に言っといて」
クラスメイトの誘いに、五十嵐がひらひらと手を振って答えた
「勝手にパスしたけど、よかったしょ」
五十嵐の問いに、軽くうなづくも、すぐに机にうつ伏せた
「あのさぁ、後で後悔するんなら、あんな事言わなきゃいいしょ」
「・・・」
「はぁ・・いったい、王子様はどうすれば立ち直るんですか?」
「五十嵐・・オレ、最低だな」
「まっ・・1年坊主に嫉妬して、肝心のお姫様の事を全然考えてなかったからな。あの1年坊主の言葉のほうが聞いてて気持ちよかったし」
晶の髪を守ろうとする、桜場の言葉はオレの胸にも響いた
「いいのか?このままだとお姫様、髪を黒く染めてくるよ。俺が言わなくても、皇紀が1番わかってると思うけど」
あぁ、わかっている
晶の、凛とした瞳は・・覚悟を決めた時のものだ
『皇兄、どうして晶の髪は黒くないの?』
小学4年の時に、晶がオレに投げかけた質問
晶の髪が特に目立ち始めてきたのは、その頃辺りからだ
オレ所にも、色々ウワサが入ってきていた
“あんな色に染めて、親は何をかんがえているのか”
“子供が可愛そう”
などの批難や同情の声。それを父兄たちが言っているのだから性質が悪い
『また、誰かに何か言われたのか?』
公園のコンクリートで作られた洞穴の中で、膝を抱えている晶の姿を見つけ出すと、隣に腰掛けた
ここは、辛い事や悲しい事があった時に、晶が逃げ出す場所
他人の言う事など気にするなと、何度晶に言っただろう
『みんな・・晶が、もらわれっ子だって。皇兄の妹じゃないって。だから晶・・晶ね』
コツンと足元に、床についていた手に堅いものが当たった
拾い上げると、墨と書かれてあるプラツチック容器と黒色の絵の具
『まさか!?お前!』
晶の髪に触れると、どろどろとした黒い液体が滴り落ちた
『何てことしたんだ!』
急いで晶を家に連れ帰り、風呂場でまだらになった晶の髪を洗い流す
『もう、こんなバカな事・・』
『それでも、黒くしたら皇兄の妹だって・・』
黒く染まったお湯が、排水口に流れていくのを見ながら、晶が大粒の涙を流していたのを今でも鮮明に覚えている