神様、僕に妹を下さい

Act.196 サイド晶(あきら)

 「///」
 私の顔が赤く染まり、会長さんの腕から離れた
 目を開けたら、会長さんの唇が1cmの距離にあった

 「双葉のやつ、絶対わざとや!!許さん、許さんでー!」
 会長さんの目の中に、炎が見える

 声を立てずに笑っていると、手首を捕まれた

 「今は、未遂に終わったけど・・ももの気持ちOKやと思ってええんやな」

 コクンと首を縦に降ろした

 「ほんまに!俺、めっちゃうれしい。なぁ、デートしよ。デート。あ・・あかん。今、生徒会の予算の件でもめとるねん。それが終わらんとだめなんや」

 コロコロと子供の様に表情が変わる人なんだなぁ

 皇兄は感情を表情に出さないで、常に冷静だったから・・
 
 だめ。皇兄と比べるなんて良くない

 「予算が落ち着くまで、何処も行けへんけどええか?」

 「はい」

 「俺は俄然、やる気が出てきたんやけど、肝心のこーちゃんがなぁ俺より食欲がないらしくて、今日も点滴しに行ってんやろうなぁ」

 点滴!点滴って・・4日間会わないだけで、どうしてそんな事になってるの?!

 皇兄・・皇兄・・大丈夫?

 「これ、ももが作ったおにぎり?食べてええか?」

 「え・・えぇ。豚汁も作ったので、持ってきましょうか」

 「ほんまに♪彼女の手作り料理が食えるなんて、なんちゅう幸せなんや」

 私の顔色が変わっているのを気付かれてはいけない
 豚汁を会長にあげたら、皇兄を探しに・・

 ドアノブに手をかけると同時に、沢村双葉が私に抱きついてきた

 「え?え?」

 「もも、あんた天才」

 ブン・ブン・ブンと両手を握られる

 「双葉、ももが困ってるやろ。何があったんや」
 会長さんが静止してくれなかったら、彼女は手を放してくれなかっただろう

 「食べてくれたの。皇紀先輩、半分だけど、おにぎり食べたの!」
 
 おにぎりって、私が作ったおにぎり!?

 「『うまい。ありがとう』って言われちゃった。それで、明日も作ってほしいの。先輩には私が作った事になってるんだけど」

 「双葉!お前なぁ」
 
 「いいの会長さん。分かった、明日も作るね」

 私が作ったと知ったら、皇兄は食べないかもしれない

 皇兄がひと口でも食べて、元気になってくれるならそれでいい

 私が皇兄にしてあげれる事が見つかった
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