神様、僕に妹を下さい

Act.209 サイド晶(あきら)

コピーも終わり、書類をまとめると生徒会長室へ

 「双葉さん・・戻ってるといいんだけど」
 
 私の呟きも虚しく、双葉さんの姿はなかった
 会長さんも、まだ来ていない

 書類、どうしよう。コピーが終わった事、皇兄に伝えた方がいいよね

 「ふぅ・・。 ぁ・ぁ」
 またも、鼻をつまみ声を出してみる
 
 なんとかなるかな

 会長室のドアの前に立ち、鼻をつまんだ

 「ごほんっ。あのー頼まれていたコピー、終わりました」

 「・・・」

 声が小さすぎた?

 「あーあー。コピー終わりましたけど。どうすればいいでしゅか?」
 
 うー。またも語尾がどもる
 でも、返事が返ってこない。返事くらいしてくれてもいいのに

 「あの!どうすればいいかだけでも、指示ください!やばっつ」

 鼻をつまんでないことに、気付いた時にはすでに遅かった

 キィィィィと音を立てて、会長室のドアが開く
 
 慌てて、書類で顔を隠す

 ドクン・ドクン・ドクン 心臓が飛び出しそう

 ・・・?
 
 ドアからは誰も出てこない。どうやら、もともとちゃんと閉まっていなかったらしい

 「はー。もう!」
 緊張しすぎて、喉がカラカラ。ポケットを探ると丸い形の紙包みが出てきた
 「飴、発見♪」

 会長さんからもらったすもも味の飴。それを、口に放り込み会長室をそっと覗き込んだ

 暗い
 
 電気は消され、窓にもカーテンがかかっている

 光が発してあるとすれば、会長の机に置かれてあるパソコンの画面の光

 「誰か・・いましゅ?」

 「・・・」

 暗闇に目が慣れてきた。人の気配はなさそう
 
 とりあえず、コピーした書類は、ガラスのテーブルの上の置く事にした
 
 ここなら、皇兄も気付いてくれるはず

 「あ・・」
 ソファの上に、無造作に置かれた制服の上着とネクタイを見つける

 持ち上げると、ふわりとミントの香りがした

 「皇兄の匂いだ」

 思わず、嬉しくて胸に抱え込んだ

 「いい・・匂い」

 まるで、皇兄に抱きしめられているみたい・・・

 カタンッ

 「!」
 コロコロコロと足元に転がってきたボールペンを拾い上げた

 どうやら、会長の机の上から落ちて来たみたい

 元に戻そうと近寄ると、パソコンの影に隠れて、うつぶせた皇兄の姿が現れた
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