神様、僕に妹を下さい

Act.227 サイド晶(あきら)

皇兄・・今なんて言ったの?

双葉さんは私のあだ名を噂で聞いていたんだと思う

 会長さんに本名を聞かれ、私が答える前に双葉さんが『さくらにわ あきら』だと言って

 晶という名前はあっていたから、特に訂正はしなかった
 
 会長さんは、私を『あきら』と呼んでくれる事になったのに

 それなのに、皇兄から出た言葉は

 『『もも』の方が彼女に合ってる・・』と


私には、『もも』と言う名前の方がいいの?


 皇兄・・それって・・
 私を『あきら』と呼びたくないと言う事なの?

 もう、私は名前も呼んでもらえないの?
 
 そっか、、そうだよね

皇兄がそう望むなら私は逆らわない

 「・・『もも』でいいですよ。会長さんもその方が呼びやすいですし、それに、晶って名前、男の子みたいで嫌だったの。『もも』なら女の子らしくていいですよね」

 小さい頃は、言った通り、男の子みたいでこの名前が嫌だった
 でも、だんだん好きになりかけてたのに

 会長さんに握られていた手を、両手で握り返す

 「お祭り、行きましょ。ね。」
 
 会長の手を引いて、皇兄の横を通り過ぎる

 「もも、そんなに急ぐ事あらへんやろ」
 
 いつの間にか、早歩きで歩いている自分がいた

 「お祭り久しぶりだから、うれしくて」

 振り向くと後ろには、皇兄と双葉さんがピッタリと腕を絡ませていた

 「なぁ、なんで今日は浴衣にせえへんかったんや?ワンピース姿もかわええけど、浴衣姿楽しみにしてたんに」

 ふわりと両脇を持ち上げられ、会長さんの目線の高さにまで持ち上げられた

 「こんな所で、やめてください」
 
 こんな所・・うううん。皇兄の前でやめて!!
 
 「なぁ、なんで?やっぱ、名前の事、怒っとったからか?」

 会長さんは、皇兄と背丈がほとんど同じ
 私の目線が皇兄と重なり合う

 「私・・優柔不断で、浴衣の柄が決められなかったんです」

 ねぇ、皇兄。今年は水玉柄、紫陽花柄どっちを着ればよかった?
 今更、聞いても遅いよね

 「それに、双葉さんが浴衣着たことないって言うし、私はこの先着る機会もあると思ったから」

 「ももはやさしいなぁ」
 私の額に会長さんのキスが落とされた
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