神様、僕に妹を下さい

Act.023 サイド皇紀(こうき)

二階にある1年のクラスは一直線上にならんでいた

8クラスある中、晶は4組に所属している

「おはようございます。会長」

4組に向かう中、何人もの1年に声をかけられる

生徒会に関わっているせいか、知らない生徒にも声をかけられる事が多い

特に無視する理由もないから、『おはよう』と返しているのだが、どうもオレを生徒会長だと思っているらしい

オレは副会長であって、ちゃんと3年に生徒会長がいる・・・といちいち弁明してまわるのも嫌だからそのままにしているのだが

それにしても、今日はやけに視線を感じる

4組のクラスに着いたはいいが、晶をどう呼び出すか・・・

教室を覗くと、クラス中の視線がオレに集まった

晶の姿がないな

もうすぐ、予鈴も鳴るってのに何処いったんだ・・・?

「それ、晶の数学のノートでしょ。皇紀先輩」

手元のノートに指差しながら、ポニーテールの女子がオレに声をかけた

「あぁ」

この顔・・・・晶の会話で出てくる・・晶の友達の・・・・・

「あいつは?二木さん」

そう、二木 萌

「名前、覚えててくれたんですか?感激です」

偶然に思い出しただけなんだけど、聞きたいのは晶の行方

「晶なら、数学のノートを忘れたって、家に電話しに行きましたよ。皇紀先輩が持ってたんですね。晶に渡しておきますよ」

すれ違いか・・・

二木にノートを渡すと彼女は思い出したかのように続けた

「晶から、チーズケーキもらいましたよ。今回は高得点だって喜んでました」

ドクン

嫌な事を思い出す

オレに味見をさせたケーキは、別の奴に渡す予定の物だったという事を・・

「二木も食べさせられたんだ。オレも毎回食べさせられて困るよ。今回は妙に気合入ってるみたいで」

おそらく二木なら、ケーキを渡した相手を知っているはず

少し、突付けば聞きだせるかもな

「そのケーキを二木に渡す為に珍しく朝早く登校したのか・・それで宿題のノートを忘れてたら意味ないよな」

晶の事を聞きだしたい気持ちが、オレを饒舌にさせる

「ふふ、晶らしいですよね。でも、私に渡すのはついでで、本当は音楽室にいるピアノの彼に渡す為なんですよ」

それが聞きたかった

「へぇー」

オレは特に興味がない様に返事をした
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