神様、僕に妹を下さい

Act.236 サイド皇紀(こうき)

晶と双葉に缶コーヒーを買いに行かせ、会長と2人っきりになった

 「何時までそうしているつもりです?目立ってますよ」

 両脇にずらっと並んだ屋台のど真ん中にしゃがんでいるものだから、ジロジロと視線を浴びている

 「ちょっと、脇道に行きません?2人には缶コーヒーを買いに行かせましたから、当分帰ってこないと思うし」

 屋台の裏に入ると、石垣の上に腰をかけ片膝を立てた

 「会長、今からするオレの質問に真剣に答えて下さい」

 「なんや、改まって。まさか、こーちゃんも『もも』の事好きや言うんやないやろうな」

 「好きですよ。晶のこと」

他人にはっきりと晶が好きだと言葉にしたのは初めてかもしれない

 「!あ・・晶って、いつの間に呼び捨てに!!」

 顔を硬直させ、ワナワナと震えている会長の顔に顔を近づけた

 「だから、真剣に考えて答えて下さい。会長は晶の事、本気で好きなんですよね」

 「あ・・当たり前や。俺はももの事は本気や!」

 会長はオレの真剣な視線を真剣な眼差しで返した

 「あいつ、グズでドジですよ。なんでもない所で転んだり、料理を作らせれば両手は傷だらけだし、天然で、大ボケかますし、下手したら会長自身、被害に遭う事多々ありますよ」

  今までの晶から受けた被害が春の嵐の様に流れてくる
  それでも晶の優しさが心地よくて、どんなに迷惑をかけられても嫌だとは思ったことはない

 「確かに、そうかもしれへんけど、ももは素直で優しくて、人を思いやる心を持っとる。俺はそんなももに惚れたんや」
 
 その嵐に臆することなく、会長は受けて立った

  晶の事、良くわかってるじゃないか

 「なんで、こーちゃんにそんな事、言われなあかんのや!」

 俺のシャツの襟首を会長は掴んだ

 「晶は・・オレのたった一人の妹だから」

 「なんや・・て?」

 襟首を掴んでいる会長の手を、オレはゆっくり振り解く

 「もう1回、言ってくれるか?」

 「晶はオレの妹なんです。晶の事、宜しくお願いします」

 深々と90度の角度に身体を曲げ、会長に頭を下げる

 晶の幸せは、オレの幸せ
 あいつがオレを守ろうとしてくれた様に、オレはあいつを守りたい

 「マジ・・なんか?『もも』がこーちゃんの妹・・でも、それなら何ですぐに言ってくれんかったんや。言ってくれたらあんな勘違いせんでもよかったんに」

 「それ、オレのせいです。中学の時、晶に『オレの妹だっていうな』と言ったことがあって、それをあいつは守っていただけなんです」

 顔を上げると、晶と双葉が缶コーヒーを抱えてこっちに来る姿が見えた
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