神様、僕に妹を下さい

Act.024 サイド皇紀(こうき)

「クス。兄妹って似るんですね」

ポツンと二木は呟いた

兄妹・・・・? あぁ、晶とか

兄妹と言われると、嫌でも血が繋がっている事を思い起こさせられる

「あいつとオレの何処が似てるって?」

すでに聞きたい情報は手に入れたのだから、ここにいる必要もないはずなのに、オレはそう質問していた

「先輩、さっき校門の前で告白されてたでしょ。晶も一緒に見てたけど、今みたいに興味なさそうだったから。それともお互いの恋愛には口を出さない様にしているのかしら?」

キーン・コーン・カーン・コーン

タイミングよく予鈴五分前のチャイムが鳴った

「じゃぁ、ノートをたのむ」

そう二木に言い渡すと、オレは二年の校舎に向かって歩き出した

今の晶にとってのオレは、兄以上でも以下でもない存在

普通の兄妹なら、当たり前の事だ

頭では判っている、判っているが・・・・

階段を降りかかった時、下から二段飛ばしで上がってくる生徒の腕と腕がぶつかった

「きゃっ」

この声!まさか!
考え事をしていて、晶だと気づくのが遅れた!?

階段から落ちていく晶の腕を掴んで、自分に引き寄せると抱きかかえながら数十段の階段から踊り場へ飛び降りた

「痛っ」

反動で両膝がガクガクする

「晶?怪我は?」

「・・・?皇兄?」

晶は状況を把握していない様子だった

「あ・・・大丈夫。なんともない。皇兄は?」

オレは晶の質問に答えず、抱きしめる腕の力が強くなった
頭が働いてなかったとは言え、晶の姿に気がつかなかったなんて

「皇兄・・・?」

「短い足で、二段飛びなんかするな!」

バッと晶の身体を自分から引き離し、制服に付いた埃を払う

「だって、急いでたんだもん。あっ、数学のノート持ってない?」

こいつ、今階段で怪我しそうになったのわかってんのか?

「それなら、二木に預けてきた」

「ほんと、萌ちゃんに。ありがと皇兄」

きっと、晶の頭の中は数学のノートで一杯で解かってないんだろうな

「そうだ。今日から少し帰りが遅くなるって、お母さんに言っといてくれる?」

パチンと手を叩き、嬉しそうに笑う晶の言葉にオレの表情が凍りついた

「お願いね。皇兄」

「あぁ」

キーン・コーン・カーン・コーン 本令のチャイムが鳴り響いた
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