神様、僕に妹を下さい

Act.241 サイド晶(あきら)

 「え・・と」

 ずらりと並べられたガラス細工の前に私はしゃがみ込んだ

 「わぁ・・カワイイ。どれにしよう?」

 「好きなん、選んでええよ」
 私の横で、会長さんが笑って答えた

 「私、高いの選んじゃいますよ」

 大きいものは、万単位の価格がついている

 「そりゃ、困るな」

 「嘘です。お手頃なの選ばせて頂きます」
 ペコッと頭を下げて、端からひとつ、ひとつ摘んで街灯にかざした

 私は結構、物を決めるのが遅い

 どれも、これも良く見えてしまって困ってしまう

 「会長さん私・・選ぶの遅いですよ」

 「ええよ。待っとるから。ゆっくり選び」
 嫌な顔せず、会長さんは答える

 でも・・本当に遅いんだけど、いいのかな?

 全部で、50種類以上あるガラス細工を見て回る。同じ形でも目の位置とか微妙に違って、私を悩ませる

 「あっ」
 
 台の隅に、蓮の葉っぱに乗った、かえるとおたまじゃくしのガラス細工を見つけた

 「これ・・」
 懐かしい・・



 『遅いっ!!』
 私が選ぶのが遅いものだから、痺れを切らした皇兄が立ち上がった

 『決めれないのなら、オレが選んでやる!!』

 皇兄は上から、見渡すと、『これだ!』と指差した

 それは、かえるとおたまじゃくしのペアで売られていたもの

 『やだよぅ。かえるなんて。カワイイのがいい』
 頬を膨らましたが、私の要望は聞いてもらえず、結局、かえるとおたまじゃくしを購入した

 皇兄はすぐに袋から取り出し、かえるの方を私に渡した

 『せめて、おたまじゃくしにして』

 『だめ。お前はすぐに迷子になるから、ちゃんと帰れる様にと、かえるがピッタリだ』

 『じゃぁ、皇兄は、なんでおたまじゃくしなの?』

 『オレのは、おたまじゃくしがちゃんと、かえるに孵れますようにと願ってだ』

 確か皇兄はそう言ってたっけ


 
 決めた
 「会長さん、私これがいい」

 「あかん。俺、爬虫類系ダメなんや」
 かえるを選んだ私に、会長さんは首を振った

 「晶には、そや。これがええ」
 そう言われて、会長さんが指差したのは、ひよこのガラス細工

 確かにカワイイけど・・・

 「これに、しとき」

 「はい」
 ひよこのガラス細工を買ってもらい、後ろ髪を引かれつつ私は屋台を後にした
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