神様、僕に妹を下さい
Act.244 サイド皇紀(こうき)
勘の鋭い女は、嫌いではない
双葉の身体がワナワナと震えているのがわかった
オレのもう一方の手が、振り上げられて、双葉は目をつぶり、口元を引き締めた
殴られると思ったのだろう
ピンッ
中指で、双葉の額にデコピンをする
「痛っ!」
双葉は額を押さえ、目を開けた
掴んだ襟も放した
「女を本気で殴るわけないだろ。それとも殴られたかったか?」
「いえ・・『もも』が・・いや『もも』さんが、皇紀先輩の妹!?嘘!」
信じられないと言った表情で双葉は呟く
「私・・いっぱい殴っちゃった」
また、オレの心に火に油を注ぐような事を・・
「最初に仕掛けたのは、晶なんだろ。こっちこそ悪かったな。あいつの代わりに謝る」
「と・・とんでもないです。『もも』・・晶さんが怒ったのは、私が皇紀先輩と付き合ってるって嘘をついていたから。確か・・殴られる前に言われたの。『嘘つき。皇兄を困らせないで!』って」
あぁ、そうか・・
晶はオレの為に、双葉とケンカしたんだ・・
だから、顔の痣も必死に隠そうとして、すべてオレの為だったのか
あの時、晶の小さな身体を抱きしめた感覚が蘇る
『このまま、お前を連れ去りたい』そう言ったオレに
『うん。私を連れてって、皇兄』とあいつは答えてくれた
「皇紀先輩、本当にごめんなさい」
無言のオレに、双葉は頭を下げた
「いや・・あんたのおかげで、いい夢が見れたよ」
「え?」
「何でもない。それより・・全部吐けよ。まだ、嘘ついてる事あるだろ」
心当たりは2つある
双葉は目を左右に動かし、観念したように言い始めた
「おにぎり・・の事ですよね?」
ご名答
「あれ、晶が作った物だろ」
「そうです」
やっぱり・・オレの味覚がおかしくなった訳ではなかった
最初に晶の味だと感じたときに、疑えばよかった。まぁ、あの時はそこまで頭が回る状態ではなかったが
「でも、私も言われて持っていったの」
「誰に?」
「五十嵐・・先輩。調理室にあるおにぎりだったら、皇紀先輩も食べるかもって」
なるほどな
通りで、五十嵐は『どんな味だった?』としつこく聞いてきたわけだ
まったく、五十嵐の悪戯っぽい表情が眼に浮かぶ
双葉の身体がワナワナと震えているのがわかった
オレのもう一方の手が、振り上げられて、双葉は目をつぶり、口元を引き締めた
殴られると思ったのだろう
ピンッ
中指で、双葉の額にデコピンをする
「痛っ!」
双葉は額を押さえ、目を開けた
掴んだ襟も放した
「女を本気で殴るわけないだろ。それとも殴られたかったか?」
「いえ・・『もも』が・・いや『もも』さんが、皇紀先輩の妹!?嘘!」
信じられないと言った表情で双葉は呟く
「私・・いっぱい殴っちゃった」
また、オレの心に火に油を注ぐような事を・・
「最初に仕掛けたのは、晶なんだろ。こっちこそ悪かったな。あいつの代わりに謝る」
「と・・とんでもないです。『もも』・・晶さんが怒ったのは、私が皇紀先輩と付き合ってるって嘘をついていたから。確か・・殴られる前に言われたの。『嘘つき。皇兄を困らせないで!』って」
あぁ、そうか・・
晶はオレの為に、双葉とケンカしたんだ・・
だから、顔の痣も必死に隠そうとして、すべてオレの為だったのか
あの時、晶の小さな身体を抱きしめた感覚が蘇る
『このまま、お前を連れ去りたい』そう言ったオレに
『うん。私を連れてって、皇兄』とあいつは答えてくれた
「皇紀先輩、本当にごめんなさい」
無言のオレに、双葉は頭を下げた
「いや・・あんたのおかげで、いい夢が見れたよ」
「え?」
「何でもない。それより・・全部吐けよ。まだ、嘘ついてる事あるだろ」
心当たりは2つある
双葉は目を左右に動かし、観念したように言い始めた
「おにぎり・・の事ですよね?」
ご名答
「あれ、晶が作った物だろ」
「そうです」
やっぱり・・オレの味覚がおかしくなった訳ではなかった
最初に晶の味だと感じたときに、疑えばよかった。まぁ、あの時はそこまで頭が回る状態ではなかったが
「でも、私も言われて持っていったの」
「誰に?」
「五十嵐・・先輩。調理室にあるおにぎりだったら、皇紀先輩も食べるかもって」
なるほどな
通りで、五十嵐は『どんな味だった?』としつこく聞いてきたわけだ
まったく、五十嵐の悪戯っぽい表情が眼に浮かぶ