神様、僕に妹を下さい

Act.025 サイド晶(あきら)

「ここの値をこうして・・・・」

本日最後の締めくくりが、数学の授業

だらだらと先生の説明がお経のように聞こえてくる

こんな先生の説明を聞くくらいなら、皇兄の方が教え方の方が数倍上手

要点をついて教えてくれるから解かりやすいんだよね

ピキッ

右腕の筋肉が引きつった

「いたた」

朝、皇兄と階段でぶつかって、落ちそうになったのが原因だなぁきっと

瞬間に皇兄に抱きとめられて、難を逃れたけど・・

その場では痛くなかったのに、時間が経つにつれて筋肉痛の様な痛みが走る

でも・・あの時、皇兄に全身で守られているみたいですごく心地よかった

『ナマ皇紀』って沢村さんが言ってたのを聞いたとき、皇兄が物みたいに扱われて少し腹が立った

だって、受け止めてくれた皇兄は、温かかったもの
 
思い出したら心臓が高鳴り出してきた

やだ、私ってば皇兄相手に何ドキドキしてるの?

でも、みんなが騒ぐのも、納得・納得

妹の私ですらあの時見とれてしまって、慌てて数学のノートの話に切り替えたんだよね

パラパラと数学のノートをめくる

「うげっ」

昨日の宿題のページに付箋が貼り付けてあり

『もっと、真面目に授業を受けろ!』

・・と皇兄の整った字で書かれてあった

はい、はい。受けます、受けますよ

受けりゃいいんでしょ

やっぱり、皇兄は皇兄

ペラッと付箋をはがし、クルクルと丸めてポケットの中に入れた
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