神様、僕に妹を下さい
Act.265 サイド晶(あきら)
カツンと地面にウチワが落ちる
会長さんの右手が大きく振り上げられた
私は、会長さんから視線は外さない
目を閉じるわけにはいかない
現実を・・自分がした事に対しての結末に目を逸らすわけには行かない
奥歯を噛み合わせ、殴られるのを覚悟した
「・・・ズルイなぁ。『もも』は」
「!」
「俺が殴れんの、わかってて、言うんやもんなぁ」
振り上げられた会長さんの手が、ゆっくりと降りて来て、私の左頬に触れ、視線が、やさしく落とされる
会長さん・・泣きそうになるのをグッとこらえ、唇を噛みしめた
「それとも、それも計算の上での事なんか・・?ちゃうわな。そんな打算的なこと、出来る様な子やないもんな」
「ん・・・ん・・」
私は、何も答えることが出来ず、大きく左右に首を振った
殴られて、罵られた方が、どんなに楽だったか・・
「なぁ、覚えとる?俺が『もも』に初めて会った時に、言った事」
「・・・」
「『もも』の瞳は、オニキスのように大きく黒い。そしてとても芯が強い・・て。俺が好きになったんは、覚悟を決めた時のあんたの凛とした瞳や」
「ぅ・・・ぅ・・」
泣かない。泣かないとそう決めたのに・・
涙が、堪えられずに溢れて来る
「泣くな・・泣くんやない」
会長さんの両腕が私の後頭部を優しく包み、私を抱き寄せた
「『もも』は笑顔の方がええ。だから泣くな」
頭に響く、かすれた会長さんの声
私の肩に、冷たい雫がポタポタと落とされた
「はぁ・・あかんな。目に埃が入ってしもて、涙が止まらんわ」
会長さんはゆっくりと自分から私の身体を離した
「いつまでも、こんなんしとったら、未練がましゅうて『もも』に嫌われるな」
「そんな・・!」
嫌うなんて・・嫌うなんて、絶対にない
もしも、皇兄より先に会長さんと出会っていたら、私・・私
もしもなんて、会長さんには失礼だね
「さぁ、行きや。悪いけど、今は送っていく事、出来きへん」
トンッと背中を押される
「はい」
私は、石段へと歩き出す
「最後に、『もも』にそういう瞳をさせる男は、『もも』の事、幸せに出来るんか?」
背中に浴びせられた会長さんからの問い
石段を1歩降りて、私は立ち止まった
会長さんの右手が大きく振り上げられた
私は、会長さんから視線は外さない
目を閉じるわけにはいかない
現実を・・自分がした事に対しての結末に目を逸らすわけには行かない
奥歯を噛み合わせ、殴られるのを覚悟した
「・・・ズルイなぁ。『もも』は」
「!」
「俺が殴れんの、わかってて、言うんやもんなぁ」
振り上げられた会長さんの手が、ゆっくりと降りて来て、私の左頬に触れ、視線が、やさしく落とされる
会長さん・・泣きそうになるのをグッとこらえ、唇を噛みしめた
「それとも、それも計算の上での事なんか・・?ちゃうわな。そんな打算的なこと、出来る様な子やないもんな」
「ん・・・ん・・」
私は、何も答えることが出来ず、大きく左右に首を振った
殴られて、罵られた方が、どんなに楽だったか・・
「なぁ、覚えとる?俺が『もも』に初めて会った時に、言った事」
「・・・」
「『もも』の瞳は、オニキスのように大きく黒い。そしてとても芯が強い・・て。俺が好きになったんは、覚悟を決めた時のあんたの凛とした瞳や」
「ぅ・・・ぅ・・」
泣かない。泣かないとそう決めたのに・・
涙が、堪えられずに溢れて来る
「泣くな・・泣くんやない」
会長さんの両腕が私の後頭部を優しく包み、私を抱き寄せた
「『もも』は笑顔の方がええ。だから泣くな」
頭に響く、かすれた会長さんの声
私の肩に、冷たい雫がポタポタと落とされた
「はぁ・・あかんな。目に埃が入ってしもて、涙が止まらんわ」
会長さんはゆっくりと自分から私の身体を離した
「いつまでも、こんなんしとったら、未練がましゅうて『もも』に嫌われるな」
「そんな・・!」
嫌うなんて・・嫌うなんて、絶対にない
もしも、皇兄より先に会長さんと出会っていたら、私・・私
もしもなんて、会長さんには失礼だね
「さぁ、行きや。悪いけど、今は送っていく事、出来きへん」
トンッと背中を押される
「はい」
私は、石段へと歩き出す
「最後に、『もも』にそういう瞳をさせる男は、『もも』の事、幸せに出来るんか?」
背中に浴びせられた会長さんからの問い
石段を1歩降りて、私は立ち止まった