神様、僕に妹を下さい
Act.267 サイド皇紀(こうき)
「大変じゃないですか。探しに行かないと」
引き裂いたハンカチを、双葉の傷口に当てきつめに縛る
「先輩、今すぐ探しに行った方が・・」
「何処に落としたのかも見当がつかないし、いいんだ。大した物じゃない」
かえるとおたまじゃくしのペアのガラス細工
昔、晶と一緒に買ったのを思い出し、懐かしくて買っただけの事
何時までも持っていても、未練がましいだけだ
「だめですよ。私のせいで、落としたのかもしれない。私探しに行きます。痛っ・・・!」
椅子から立ち上がろうとして、足に痛みが走り、双葉は顔をしかめた
「だから、無理するなって」
「無理します。でないと、先輩に申し訳ない。『もも』にも・・先に殴ってきたのは彼女だけど、悪いのは私だから。だから、探しに行って下さい。先輩が行かないのなら、私が行きます」
再び立ち上がり、下駄を履こうとする双葉に、オレは肩を落とした
「わかった」
「ホントですか?」
「あぁ、ただ・・」
オレは空を見上げた。嫌な灰色の雲が空を覆い始めている
「雨が降りそうだ。降る前にあんたは帰ったほうがいい。タクシーを拾える所まで送っていく」
「大丈夫です。タクシーならちょっと歩けばすぐつかまると思うし、私を送っている間に、ガラス細工が踏まれたりしたら大変ですから」
双葉は、「絶対、見付けてくださいね」と念を押し去って行った
「ふ・・む」
探せと言われても・・白と赤のギンガムチェックの10cm角の袋に入ったものだ
重いものでもないし、風に飛ばされたり、踏まれたりしたら、それで終わり
もろく・・もろく壊れやすいもの
確か・・神殿に参った時はまだ、ポケットの中にあった
落としたとすれば、神殿から休憩場までの間
記憶を辿り、元来た道を引き返す
時間も遅くなって来たせいか、人の数も少なくなってきている
「ない・・な」
どう考えても、見つかる訳がない
「きゃぁぁ」
と言う悲鳴と共に、パタパタと足音がすると前から逃げるように人が走ってきた
「雨・・だ」
パラパラと小粒の雨がこっちに向かってくるのが見える
雨のせいで、境内にいた見物達が、出口のほうへと散って行った
オレはビニール傘をさしながら、人の流れの反対の方向へ歩き出した
引き裂いたハンカチを、双葉の傷口に当てきつめに縛る
「先輩、今すぐ探しに行った方が・・」
「何処に落としたのかも見当がつかないし、いいんだ。大した物じゃない」
かえるとおたまじゃくしのペアのガラス細工
昔、晶と一緒に買ったのを思い出し、懐かしくて買っただけの事
何時までも持っていても、未練がましいだけだ
「だめですよ。私のせいで、落としたのかもしれない。私探しに行きます。痛っ・・・!」
椅子から立ち上がろうとして、足に痛みが走り、双葉は顔をしかめた
「だから、無理するなって」
「無理します。でないと、先輩に申し訳ない。『もも』にも・・先に殴ってきたのは彼女だけど、悪いのは私だから。だから、探しに行って下さい。先輩が行かないのなら、私が行きます」
再び立ち上がり、下駄を履こうとする双葉に、オレは肩を落とした
「わかった」
「ホントですか?」
「あぁ、ただ・・」
オレは空を見上げた。嫌な灰色の雲が空を覆い始めている
「雨が降りそうだ。降る前にあんたは帰ったほうがいい。タクシーを拾える所まで送っていく」
「大丈夫です。タクシーならちょっと歩けばすぐつかまると思うし、私を送っている間に、ガラス細工が踏まれたりしたら大変ですから」
双葉は、「絶対、見付けてくださいね」と念を押し去って行った
「ふ・・む」
探せと言われても・・白と赤のギンガムチェックの10cm角の袋に入ったものだ
重いものでもないし、風に飛ばされたり、踏まれたりしたら、それで終わり
もろく・・もろく壊れやすいもの
確か・・神殿に参った時はまだ、ポケットの中にあった
落としたとすれば、神殿から休憩場までの間
記憶を辿り、元来た道を引き返す
時間も遅くなって来たせいか、人の数も少なくなってきている
「ない・・な」
どう考えても、見つかる訳がない
「きゃぁぁ」
と言う悲鳴と共に、パタパタと足音がすると前から逃げるように人が走ってきた
「雨・・だ」
パラパラと小粒の雨がこっちに向かってくるのが見える
雨のせいで、境内にいた見物達が、出口のほうへと散って行った
オレはビニール傘をさしながら、人の流れの反対の方向へ歩き出した