神様、僕に妹を下さい

Act.028 サイド皇紀(こうき)

ズクン。

右肩と両足のアキレス腱からふくらはぎにかけて、筋肉がピリピリ痛い

朝、階段から落ちていく晶を受け止めた際、急に負担をかけたせいで筋肉の筋を伸ばしたのだろう

晶が階段から落ちていく時、心臓が止るかと思った

今も、かすかに抱きしめた感触が残っている

『今日から少し帰りが遅くなるって、お母さんに言っといてくれる?』

別れ際に、晶に言われた言葉を思い出す

帰りが遅くなるって、音楽室の男に会ってくる為なのか?

生徒会室の窓から見下ろす位置に、音楽室が見える

晶は音楽室に来るのだろうか・・・?



「桜庭ちゃん、こーちゃん」
 
「あ?」

オレは不機嫌そうに顔をあげた

人の事をちゃん付けで呼ぶのは、あいつしかいない

「なんか、めっちゃ機嫌悪いんな。自分。さっきから心ここにあらずって感じやし」

生徒会室には20人掛けのテーブルが用意してあり、その関西弁もどきの人物は上座に座っていた

関西弁もどきだと言うのは、真の関西人ではなく、一ヶ月事に話方が変わるからだ。先月は確か、語尾に『ぴよ』を付けてたよな

「べつにオレのことは気にせず、どうぞ続けて」

今日は生徒会の予算決めで、役員が生徒会室に集まっていた

「続けて、言うても聞いてないやろ。それに、こーちゃんの席はこっちや」

上座の横の空席に指を指される

今日のオレは、窓際の後部席に座っていた

「いえ、今日はこの席で構いませんので」

まったく、冗談じゃない

席を移ったら、音楽室が見えなくなってしまうだろ

「一人だけわがまま言うたらあかん。まして、副会長やろ」

オレはその言葉に少しカチンと来た

「じゃぁ、言わせて頂きますが、生徒会主催の行事の度、毎回、生徒会長からのあいさつが副会長のオレに回ってくるのはどうして?」

なぜ、オレが他の生徒に生徒会長だと思われている理由のひとつ

肝心の時になると、こいつ・・生徒会長の具合が悪く?なって、オレが仕切るはめになるからだ

「酷い・・こーちゃん」

まったく、酷いのはどっちの方だ

「!!」

視野の中に音楽室に向かって、走ってくる生徒の姿が見えた

あれは、晶・・
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