神様、僕に妹を下さい

Act.282 サイド皇紀(こうき)

 「晶・・頼むから、もう、無理を言わないでくれ」

 オレは、声をかすれながら晶に頼んだ

 晶はどうしても、オレに自分の胸を温めろと言う

 小さな頭を、横にいっぱい振って、凛とした目をオレに向ける

 「皇兄・・皇兄にとって、私は、血の繋がったたった一人の妹なんだよね?」

 あぁ、そうだよ

 「風邪引かせたくないんだよね?」

 当たり前だ

 オレに何を言わせたい?。どうして今日のお前はこんなにオレを困らせる

 「あぁ、お前は大事な妹だ」
 
 晶から、目を逸らし、オレは呟く。何回・・妹だと言わなければならない?

 「じゃぁ、その妹が寒いと、皇兄・・の体温で温まりたいと言ってるの。妹なんだもの温めてくれるよね」

 晶・・なぜこんなに妹だと強調する?

 「私・・雨が止んだら、ちゃんと家に帰るし、これから先、もう皇兄にこんな無理言わないから、だから」

 
 皇紀・・皇紀
 もうひとりの自分に問いかける
 大丈夫だよな。晶を抱きしめても、抑えられるよな

 晶が、あまりにも真剣で、必死で懇願してくるのに、それを跳ね返す事は出来なかった

 オレはシャツのボタンに手をかけた。濡れたシャツで抱きしめても、晶を余計濡らすだけ

 シャツを脱ぎ捨て、下のTシャツへと手をかける

 「ふぅ」
 どこからともなく、息が自然に漏れた

 「あ・・」
 そんなオレの姿を見ていた晶が、赤くなってうつむいた

 あ・・
 この小屋に入って、ようやくいつもの晶に出会えたような気がした

 そう、これが晶
 オレの裸を見て、真っ赤になって照れている

 そして、オレはいつもみたいにちょっとイジワル言ってみる

 「・・どうした?お前が望んだんだろ?このシャツもぐしょ濡れだから脱がないとダメなんだが・・止めるか?」

 未だ、顔をあげない晶の姿が可愛くて、笑みがこぼれる

 さっきみたいな無茶な晶には、驚かされたが、やはりいつもの晶がいいな

 晶の髪を撫でながら、オレは冗談ぽく続けた

 「はぁ、今回はマジ参った。良く考えたなこんな悪戯。それとも会長に何か吹き込まれたか?あの人悪戯好きだから」

 ポンポンと晶の頭を叩き、オレは脱いだシャツを拾い上げ、雨の様子を出口に見に行った

 ほんとに、性質が悪い。今回降り立ったオレの前の小悪魔は・・
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