神様、僕に妹を下さい
Act.289 サイド晶(あきら)
『眠りの森の美女』その題名で、名前は覚えていないけど姫役をやった
本当にただ眠っているだけの役で・・あの時、王子様や他の配役のセリフを聞いていたら・・だんだん・・
「あの時は、ホントに傑作だったよな。いくら眠る演技でも、本番にホントに眠るか?」
皇兄が、あの時のシーンを思い出して、また笑い始めていた
「う・・・・。だって、あの時は眠かったんだもの・・。セリフもなかったしさ・・・」
あのシーン。王子様のキスでお姫様が目覚める場面
王子役の子は私の額にキスをしたんだと思う。・・だけど私は完全熟睡して起きないから、王子から額を叩かれ起こされる羽目になったのよねぇ。会場はもう大爆笑
「皇兄って、どうしてそんな余計な事、いっつも覚えてるの・・もう」
はずかしくって、顔をあげられないよ
抜群の記憶力の皇兄には、どうあがいても勝てない
でもね、皇兄
私は、確かに記憶力が乏しいけど、今日の事は忘れないよ
初めて、好きな人に抱きしめられた感覚
全身、全神経を使って、この感覚は忘れない
忘れたくない
「私も、昔の皇兄の事思い出した」
ふと、頭に浮かんだ昔の皇兄
皇兄は、不思議そうに顔を傾げた
「皇兄も、ロミオとジュリエットのロミオ役やったよね」
立ち回り、セリフ回し、観客からは大絶賛で・・大爆笑を浴びた私とは正反対
「ふふふっ」
「なんだよ。その笑いは」
私の笑いに、ムッとした皇兄
「さっきのお返し」
・・と私は言ってみたりする
だって、まるで恋人同士の様な会話なんだもの
些細な言葉のやり取りが幸せ
「・・で、お前は何を思い出したんだ?」
気にしていない振りして、気になってるの?皇兄
「えへへへ」
「言えよ。言わないと・・」
言わないと、なに?
「ひやぁっ!」
私の背中の真ん中を皇兄の人差し指がなぞる
ブルット背中が震え、首を仰け反った
「こうにぃっ!」
バカ、バカ。ポンポンと皇兄の肩を叩いた
「言う気になったか?」
それって、半分は脅しじゃない
「う・・ん。ロミオ役の皇兄、カッコよかったなぁって」
私の答えに、皇兄は『なーんだ』とばかりの表情
皇兄は自分が、人にどう見られているか自覚がない
本当にただ眠っているだけの役で・・あの時、王子様や他の配役のセリフを聞いていたら・・だんだん・・
「あの時は、ホントに傑作だったよな。いくら眠る演技でも、本番にホントに眠るか?」
皇兄が、あの時のシーンを思い出して、また笑い始めていた
「う・・・・。だって、あの時は眠かったんだもの・・。セリフもなかったしさ・・・」
あのシーン。王子様のキスでお姫様が目覚める場面
王子役の子は私の額にキスをしたんだと思う。・・だけど私は完全熟睡して起きないから、王子から額を叩かれ起こされる羽目になったのよねぇ。会場はもう大爆笑
「皇兄って、どうしてそんな余計な事、いっつも覚えてるの・・もう」
はずかしくって、顔をあげられないよ
抜群の記憶力の皇兄には、どうあがいても勝てない
でもね、皇兄
私は、確かに記憶力が乏しいけど、今日の事は忘れないよ
初めて、好きな人に抱きしめられた感覚
全身、全神経を使って、この感覚は忘れない
忘れたくない
「私も、昔の皇兄の事思い出した」
ふと、頭に浮かんだ昔の皇兄
皇兄は、不思議そうに顔を傾げた
「皇兄も、ロミオとジュリエットのロミオ役やったよね」
立ち回り、セリフ回し、観客からは大絶賛で・・大爆笑を浴びた私とは正反対
「ふふふっ」
「なんだよ。その笑いは」
私の笑いに、ムッとした皇兄
「さっきのお返し」
・・と私は言ってみたりする
だって、まるで恋人同士の様な会話なんだもの
些細な言葉のやり取りが幸せ
「・・で、お前は何を思い出したんだ?」
気にしていない振りして、気になってるの?皇兄
「えへへへ」
「言えよ。言わないと・・」
言わないと、なに?
「ひやぁっ!」
私の背中の真ん中を皇兄の人差し指がなぞる
ブルット背中が震え、首を仰け反った
「こうにぃっ!」
バカ、バカ。ポンポンと皇兄の肩を叩いた
「言う気になったか?」
それって、半分は脅しじゃない
「う・・ん。ロミオ役の皇兄、カッコよかったなぁって」
私の答えに、皇兄は『なーんだ』とばかりの表情
皇兄は自分が、人にどう見られているか自覚がない