神様、僕に妹を下さい

Act.292 サイド晶(あきら)

 皇兄の整った・・綺麗な顔

 皇兄の目線に手をかざして、振ってみた。何の反応もない
 ホントに目を閉じていてくれている

 「ケホッ、ケホッ」

 「大丈夫か?早くしろよ」

 「ん・・・」
 私は白衣に袖を通した

 「皇兄・・ケホッ、皇兄さっき、夢が叶ってよかったと言ってくれたよね?好きな人と初キス出来たって・・」

 確かに私の夢は叶ってる
 皇兄がファーストキスの相手なのだから・・

 「あぁ、だからお前は会長と・・」

 「そう、私は会長さんとキスしたよ・・でも、私の初キスの相手は会長さんじゃないの」

 「え・・?」

 白衣の帯を締め、目を閉じている皇兄に向き直る

 「私は、私の初キスは絶対その人でありたいと思ってた。でも、その人とのキスする事は、たぶん一生ありえないと思うくらい、遠い存在の人で・・」

 皇兄・・あなたと・・

 「でも、神様も私の気持ちを知ってて、偶然その人とキスする事ができたの」

 甘く・・甘く、息つくことも出来ないくらい・・熱い口付け

 「晶・・・もういい。もう、やめてくれ」
 皇兄が苦しそうに、顔を歪めた

 ごめんね皇兄。続けさせて

 私は左手で、皇兄の右頬に触れた

 「私、すごく幸せだった。夢にまで見た好きな人とのキスだもの。・・でも、その人が口にしたのは、別の人の名前。私とのキスなのに、その人は別の人とキスしたと思ってるの」

 『あきら』ではなく、『ふたば』・・とあなたは言ったんだよ

 そして、右手を皇兄の左頬に添える

 「私は、今度その人が目を開けたとき、『あきら』って呼んでもらいたい」

 ・・もう、止まらない
 目を閉じると、あの時の・・皇兄とのキスの感覚が甦る

 そう・・まずは・・優しく上唇から、キスを落とす
 
 私は、皇兄の上唇に唇を重ねた

 「!あき・・!」
 
 皇兄の驚く声がしたけれど・・

 私は皇兄の上唇を、何回もついばむ。そして、次は下唇にキスを落とした

 「好き・・・・好き・・」
 キスをしながら、かすれた声で何回も呟く

 好き・・あなたが好きです

 だから・・目を開けたとき・・私を『あきら』と呼んで下さい


 あぁ・・・身体に力が入らない。熱で・・瞼が・・重い・・・
 
 私は皇兄の声を聞く事もなく、その場に崩れ落ちた
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