神様、僕に妹を下さい

Act.296 サイド皇紀(こうき)

オレの電話に、五十嵐の対応は早く、すぐにあいつの自家用車が神社の前に乗りつけた

 オレは晶の身体を抱きかかえ、車に乗り込み、五十嵐に手渡された毛布を晶の身体に巻きつけた

 「晶・・あきら・・もうすぐだからな・・晶」
 必死に語りかけ、晶の顔をやさしく撫でる

 頬だって、唇だって、こんなに温かい
 熱は、晶が身体の中で、必死に病気と闘っている証拠

 だから、負けるな。晶
 
 車は病院の裏口に付けられ、そこには五十嵐の父親と看護婦が2名がストレッチャーを用意して待っていた

 「皇紀、晶ちゃんをこれに」

 五十嵐の言葉に、オレは首を振った

 「晶は、オレの手で治療室まで運ぶ」

 それ以外に、晶に何もしてやれない
 だったらせめて・・治療室までは

 「では、こちらへ」
 看護婦に案内され、治療室のベットへと晶を運ぶ

 「先生、晶を宜しくお願いします」

 晶の頭を撫で、五十嵐の父親に頭を下げると、治療室を出た

 治療中という赤いランプが点滅したのを見て、身体から力が抜けた

 「おっと」
 床に座り込む寸前、五十嵐の手がオレの腕を掴み引き上げた

 「次は、皇紀の番な」

 「オレは、ここにいる」
 晶の・・少しでも晶の近くにいたい

 「そんなカッコで、いてもらっても病院が困る。ここ一応産婦人科だし。患者は全員女性なわけ」

 オレの今の姿は、上半身裸だった

 「それに・・お前がここで倒れたら、晶ちゃんの治療が終わった時、誰が面倒みるの?今、お前のすべき事は、身体を温めて、服を着替えて、平常心を保つ事だと思うぜ」

 あき・・ら
 治療室のドアに手の平を置く
 ドアの向こうの様子は、何も感じられなかった

 オレのすべき事は、晶が目を覚ました時に、側にいてやりたい
 五十嵐の言う通りだった

 「俺の部屋に行こう。病院のすぐ隣だから」

 五十嵐は自分の羽織っていた上着を、オレの背中にかけると、病院の中庭を通り、自分の部屋へとオレを連れて行った

 「とりあえず・・サイズは俺ので合うはずだから・・これとこれ」

 五十嵐はクローゼットからシャツとズボンを選びオレに向かって投げた

 「これに、着替えてろよ。俺は何か、温かいものを持ってくる」

 五十嵐の存在が部屋から消えて、オレはあいつのベットへと倒れこんだ
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