神様、僕に妹を下さい
Act.297 サイド皇紀(こうき)
「あきら・・」
口から出てくるのは、晶の名前ばかりだった
今もオレの胸に残る・・晶の温もり
オレの唇を何回もついばんだ・・柔らかい唇の感触
オレの耳に何回も繰り返す 「好き・・」 という晶の言葉
すべてはオレが・・この世で一番手に入れたいものだった
これは・・夢?
オレは夢を見ているのだろうか?
目が覚めたら、すべてなかった事になるのだろうか?
ポケットに手を入れると、晶から手渡されたかえるのガラス細工が入っていた
「夢じゃ・・ない」
かえるの足を直してほしいと、晶に頼まれた
思い起こせば、晶の様子がおかしかったのは、このガラス細工から始まった
何が・・いったい、晶をそうさせたんだ・・?
「お前、何も食べてないだろ。コーヒーとトーストを・・」
五十嵐が部屋のドアを開けるや否や、オレは五十嵐の胸倉を掴んで、壁に押し当てていた
ガシャン
五十嵐の持っていたトレーが音を立てて、床に散らばった
「お前、晶に何か言っただろ!!」
「皇・・」
「晶に何を言った!!答えろ五十嵐!」
誰かが晶に吹き込まない限り、あいつがあんな事をするはずがない
そんな事を言う奴は、オレの知る限り、晶との事情を知ってるこいつしかいない!!
パタパタとトレーを落とした音を聞いた使用人がオレ達の部屋の前にやってきた
「潤様、何かございましたか?大きな物音が・・」
ドア越しの使用人の声
五十嵐は胸倉を掴んだオレの手を声が出るように緩めた
「手が滑って・・トレーを落としたんだ。代わりのコーヒーを持って来てくれないか」
と何事もなかった様に、使用人に指示した
「かしこまりました」
使用人が部屋から去っていく
「皇紀・・皇紀、落ち着けよ。そう強く締められたら、話す事もままならない」
五十嵐は、怒るでもなく、怯えるでもなく、オレに語りかけた
スル・・スルと五十嵐を掴んでいた手に力が入らなくなり、ぶらんと重力に吸い込まれた
「頼む・・答えてくれ。晶に何を言った?そうでないと・・あいつがオレにあんな事するはずないんだ・・」
「晶ちゃんは、お前に何をしたんだ?」
「晶は・・オレに・・好きだ・・とキスを・・」
再び、オレの両目から涙が零れ落ちた
口から出てくるのは、晶の名前ばかりだった
今もオレの胸に残る・・晶の温もり
オレの唇を何回もついばんだ・・柔らかい唇の感触
オレの耳に何回も繰り返す 「好き・・」 という晶の言葉
すべてはオレが・・この世で一番手に入れたいものだった
これは・・夢?
オレは夢を見ているのだろうか?
目が覚めたら、すべてなかった事になるのだろうか?
ポケットに手を入れると、晶から手渡されたかえるのガラス細工が入っていた
「夢じゃ・・ない」
かえるの足を直してほしいと、晶に頼まれた
思い起こせば、晶の様子がおかしかったのは、このガラス細工から始まった
何が・・いったい、晶をそうさせたんだ・・?
「お前、何も食べてないだろ。コーヒーとトーストを・・」
五十嵐が部屋のドアを開けるや否や、オレは五十嵐の胸倉を掴んで、壁に押し当てていた
ガシャン
五十嵐の持っていたトレーが音を立てて、床に散らばった
「お前、晶に何か言っただろ!!」
「皇・・」
「晶に何を言った!!答えろ五十嵐!」
誰かが晶に吹き込まない限り、あいつがあんな事をするはずがない
そんな事を言う奴は、オレの知る限り、晶との事情を知ってるこいつしかいない!!
パタパタとトレーを落とした音を聞いた使用人がオレ達の部屋の前にやってきた
「潤様、何かございましたか?大きな物音が・・」
ドア越しの使用人の声
五十嵐は胸倉を掴んだオレの手を声が出るように緩めた
「手が滑って・・トレーを落としたんだ。代わりのコーヒーを持って来てくれないか」
と何事もなかった様に、使用人に指示した
「かしこまりました」
使用人が部屋から去っていく
「皇紀・・皇紀、落ち着けよ。そう強く締められたら、話す事もままならない」
五十嵐は、怒るでもなく、怯えるでもなく、オレに語りかけた
スル・・スルと五十嵐を掴んでいた手に力が入らなくなり、ぶらんと重力に吸い込まれた
「頼む・・答えてくれ。晶に何を言った?そうでないと・・あいつがオレにあんな事するはずないんだ・・」
「晶ちゃんは、お前に何をしたんだ?」
「晶は・・オレに・・好きだ・・とキスを・・」
再び、オレの両目から涙が零れ落ちた