神様、僕に妹を下さい
Act.316 サイド晶(あきら)
もしかして・・夢の中の男の子・・?
振り向いてその人の顔を・・でも、すごく昔の事だ。顔を見てもきっとわからない
「も・・もう1回聞きたい」
あの時と同じセリフを、振り向かずに言ってみる
「だめ」
と言う言葉と共に、私の後ろにその人が降り立つ音がした
「特別だって言ったろ」
あの時と、同じセリフが返ってきた
「なん・・何で・・どう・・して・・?」
私はゆっくりと、後ろを振り向いた
「どうして皇兄が、あの男の子と同じセリフを言うの?」
私の初恋の男の子と同じ事を、な・・ぜ?
私の前には、脱いだ制服の上着を片手に、汗だくになった皇兄が立っていた
「はぁ・・はぁ。やっと見つけた」
肩から息をしていたのを一息つけると、皇兄は前髪をかき上げた
「どうして、皇兄が・・?」
私は、あの子の事は誰にも話したことがなかった
家族の誰にもだ
皇兄は私の知らない所で、その子に会ったの・・?
「お前の言ってる男の子っていうのは、オレだから」
え・・?
そんな、だって!
私は首を横に振った。それはない
だって、あの時の男の子の髪の色は、見事な茶色だったもの
「ちが・・う。あの子の髪、茶色だった。私と同じ明るいブラウンだった!」
記憶力のない私でも、これはだけは断言できる
皇兄の漆黒の黒髪とは違う
「髪・・か」
皇兄は、自分の髪をひと摘みする
「オレも途中までは、茶色の髪色だったしな。成長するにつれて徐々に黒くなっていったから、お前が勘違いするのも仕方ない」
「う・・そだ」
嘘、嘘、嘘
だったら、私は・・私の初恋の相手は、皇兄だったと言うの!!
そんな・・ことって
私は最初から、皇兄に恋をしていたと言うの
「オレもここに来て、鼻歌を聴くまではすっかり忘れていたよ。お前との大事な思い出のはずなのにな」
ジリ・ジリと私は、後すざりし始めた
「ギリギリだったが、思い出せてよかった。お前の事はどんな些細な事も忘れたくない」
私は、踵を返せるだけの距離をとると、方向転換し走り出した
「待て!!晶、もう逃げるな!」
皇兄の声に、私の足が止まる
「いや、もうずっと逃げていたのは、オレの方だな」
皇兄が、ゆっくりと私に近付いてきた
振り向いてその人の顔を・・でも、すごく昔の事だ。顔を見てもきっとわからない
「も・・もう1回聞きたい」
あの時と同じセリフを、振り向かずに言ってみる
「だめ」
と言う言葉と共に、私の後ろにその人が降り立つ音がした
「特別だって言ったろ」
あの時と、同じセリフが返ってきた
「なん・・何で・・どう・・して・・?」
私はゆっくりと、後ろを振り向いた
「どうして皇兄が、あの男の子と同じセリフを言うの?」
私の初恋の男の子と同じ事を、な・・ぜ?
私の前には、脱いだ制服の上着を片手に、汗だくになった皇兄が立っていた
「はぁ・・はぁ。やっと見つけた」
肩から息をしていたのを一息つけると、皇兄は前髪をかき上げた
「どうして、皇兄が・・?」
私は、あの子の事は誰にも話したことがなかった
家族の誰にもだ
皇兄は私の知らない所で、その子に会ったの・・?
「お前の言ってる男の子っていうのは、オレだから」
え・・?
そんな、だって!
私は首を横に振った。それはない
だって、あの時の男の子の髪の色は、見事な茶色だったもの
「ちが・・う。あの子の髪、茶色だった。私と同じ明るいブラウンだった!」
記憶力のない私でも、これはだけは断言できる
皇兄の漆黒の黒髪とは違う
「髪・・か」
皇兄は、自分の髪をひと摘みする
「オレも途中までは、茶色の髪色だったしな。成長するにつれて徐々に黒くなっていったから、お前が勘違いするのも仕方ない」
「う・・そだ」
嘘、嘘、嘘
だったら、私は・・私の初恋の相手は、皇兄だったと言うの!!
そんな・・ことって
私は最初から、皇兄に恋をしていたと言うの
「オレもここに来て、鼻歌を聴くまではすっかり忘れていたよ。お前との大事な思い出のはずなのにな」
ジリ・ジリと私は、後すざりし始めた
「ギリギリだったが、思い出せてよかった。お前の事はどんな些細な事も忘れたくない」
私は、踵を返せるだけの距離をとると、方向転換し走り出した
「待て!!晶、もう逃げるな!」
皇兄の声に、私の足が止まる
「いや、もうずっと逃げていたのは、オレの方だな」
皇兄が、ゆっくりと私に近付いてきた