神様、僕に妹を下さい

Act.326 サイド皇紀(こうき)

 「だから、私・・」

 晶は、そこで言葉を止めた。その後の続きを聞きたい

 恐らく、それが晶の答え

 オレからの最後の質問
 ちゃんと、お前の言葉で答えてほしい
 
 「晶、オレは、お前をひとりの『女の子』として好きだ。だから、お前の気持ちをちゃんと聞かせて」

 それでも、『妹』に戻ると言うのなら、オレもお前の『兄』に戻ろう

 オレはちゃんと、自分の気持ちを伝える事が出来たのだから


 「好・・き。私も・・皇兄と同じ・・『好き』です」

 オレの質問に、カワイイ生徒は、途切れ途切れの小さな声で答えてくれた

 やっと、やっと・・聞くことが出来た。お前の答え

 でも晶の表情は、曇っていた

 「晶・・」
 その、理由(わけ)は恐らく・・オレがずっと悩んでいた事

 「でも、ダメなの。私と付き合ったら・・皇兄ダメなの」
 
 「それは、オレ達が、兄妹だから?」
 
 消せない事実。消せない血のつながり

 お互いに好きだと分かっていても、避けて通れない道

 「そう。私達兄妹だもの・・」
 晶はため息をつくと、儚く笑った

 そう、オレ達が結ばれたら、晶の失うものが多い

 父さんや、母さん
 将来、結婚して幸せな家庭を作りたいと言っていた晶の夢も、当然訪れるはずの晶の幸せも、オレのせいでもろく崩れてしまう

 オレは、晶には常に、光の中にいてもらいたい。オレの闇に引きずり込む訳にはいかない

 晶の笑顔は、本当にお日様の光が良く似合うから

 晶・・お前の最後の回答は、1番正しい答えだ

 「皇兄・・」

 「晶・・最後に、抱きしめてもいいか?」

 「はい」

 オレは、ベンチから立ち上がり、座って見上げる晶を上から包み込むように抱きしめた

 「ごめんな・・ごめん・・ごめんな晶」

 抱きしめた途端、色んな想いが込み上げてきて、何度も、晶の耳元で繰り返した

 ずっと、苦しめてごめんな

 幸せにしてやれなくて、ごめんな

 何回謝っても、足りないくらい

 「なんで・・どうして、皇兄が謝るの・・?」

 「それは、オレの存在はお前を苦しめただけで・・オレはお前に何もしてやれなかったから。だから、ごめんな」

 謝るオレに、晶の身体が小刻みに震え、抱きしめる腕から、顔をあげてオレの方を見た
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