神様、僕に妹を下さい

Act.328 サイド晶(あきら)

妹として1番かぁ。それもいいかもしれない

 皇兄の『恋人』には誰でもなれるけど、『妹』にはなりたくてもなれないもの

 思えば、私はすごい地位にいるのだ

 もう少しで、その『妹』の地位を失くしてしまう所だった

 そう、考えたら元気が出てきた

 もう、大丈夫。家に帰っても、きっと大丈夫

 家・・と言えば、せっかく皇兄に足を拭いてもらったけど、私どうやって家に帰ればいいんだろう?

 結局・・靴はない訳で・・

 皇兄、その事気付いてる?

 もしかして、おんぶとかしてもらえる?

 私がひとり、ほくそ笑んでる中、皇兄は私の足を持ったまま、違う方向に視線を送っていた

 「お兄ちゃん?」

 その方向に首を掲げ、皇兄を呼んでみた

 「晶・・」

 私の呼び声に、皇兄は唇だけで呟いた

 「なぁに?」

 おんぶしてもらおうなんて、おこがましい考えはしてないよ
 私は、歩いて帰れるし・・
 皇兄が一緒に帰ってくれるなら・・

 「さっきの・・オレの・・」

 言葉が止まった後、皇兄は堅く口を結び、軽く目を閉じて数秒間沈黙を置いて、私を真っ直ぐに見た

 この表情・・これはいつも、生徒会の代表でステージにあがり全校生徒に話をし始める前にするもの

 今から、重要な話をすると言う緊張感が伝わって、全校生徒は皇兄に注目していたのを思い出した

 どうしたというのだろう・・?

 こんな表情を私に見せるなんて



 「晶、さっきのオレの告白は・・お前を思う気持ちは、本当なんだ」

 皇兄の声が、余りにも静かすぎて、私は理解するのに時間がかかった

 「皇・・」
 ようやく理解できた時、皇兄は私の隣に座り、次の言葉を私に投げかけていた

 「オレの中でのお前は、いつも『妹』ではなく、いつもひとりの『女の子』だった。お前が神社でキスしてくれる前から好きだった」

 それは子守唄のように、優しい語り口調だった

 「これが、オレの『好き』の真実。だから、聞かせてお前の『好き』の意味を。オレの『好き』と、どう違うのか?」

 皇・・にぃ・・?

 私・・私の事、『女の子』として・・好き?

 まさか・・まさか・・そんな

 どうして・・私を惑わすような事を、そんな真剣な顔で言うの?

 せっかく・・妹に戻ろうと・・してるのに
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