神様、僕に妹を下さい

Act.333 サイド皇紀(こうき)

『どうして、皇兄が謝るの・・・?』
  
最期に晶を抱きしめながら、何回謝っても足りないオレに、晶は理由が分からないという瞳でオレを見つめ返した

「お願い、そんな風に謝らないで。私、皇兄が傍にいてくれるだけで、私を幸せにしてくれたよ。だから、苦しめたなんて言わないで」

切ない・・切ないソプラノの晶の声

晶・・何言ってる?
お前をこんなに泣かせて、苦しめてないわけないだろ?
どこまで、お前は・・

「・・でも」
晶は目を伏せ、深く深くため息をついた

「・・でも、私は・・私の方が・・皇兄に何もしてあげれないの。私がもらっている幸せを・・私は皇兄に返すことが出来ないの・・」

あき・・ら?
晶から、思ってもみない言葉が出てきた

「ごめ・・ごめんなさい。私の存在は、きっと皇兄の幸せを奪ってしまう。私は・・あなたの未来を壊したくない」
  
晶の大きな瞳から涙が溢れ、留め度もなく流れて行く

「うっ・うっ・・・」
晶は、必死で涙を抑えようと呼吸を飲み込もうとするが、いちど雫となった涙は止まることはなかった

「晶・・お前・・オレの幸せを?」
オレは、込み上げる熱いものと、震える声で晶に尋ねた

自分の幸せではなく、オレの幸せを考えてくれていたのか・・?

「だって、好きだもの・・好きな人には、幸せになってもらいたい。私は、皇兄には幸せでいてほしい。だから、ありがとう。こんな私を好きになってくれて」

  
最高の・・告白だった
晶からもらえた最高の優しさだった

オレは・・わかっているはずだった

なのにオレは、最期の最期に晶がオレにくれようとしていた優しさに気付かなかった

  
オレ達は・・・

オレが願ったのは、晶の幸せだった

晶が願ってくれたのは、オレの幸せだった

オレ達は、お互いの未来の幸せを願っていた

  
  
でも、オレは幸せになる基準を勘違いしていたのかもしれない

幸せは・・お互いに願いあってなれるものではない・・と

自分自身で幸せの方向に行かなければだめなんだと

だって、自分が幸せを知らずに、相手に幸せを伝えることなんてできないよな

 
胸の中にいる晶を強く抱きしめる


晶・・・オレは、お前に幸せを伝える事が出来る様に、オレ自信が幸せになる

その為に・・オレに必要なのは・・・・
  
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