神様、僕に妹を下さい

Act.035 サイド晶(あきら)

「あれ?私制服着たまま・・寝ちゃってたんだ・・」

私は自分の姿を見下ろし、つぶやいた

部屋を見渡すと、上着とネクタイはちゃんとハンガーにかけてある

寝ぼけて自分でやった・・の?

それならブラウスもスカートも着替えればよかったのに

額もまだズキズキする

起き上がった時、人の気配がして手を伸ばして掴んだら、皇兄の腕だったし

・・・???

なんで皇兄がここにいる・・の?

「皇兄・・?どうしてここにいるの?」

「・・・・・」

皇兄は黙ったまま、私の手首を掴み自分の腕から引き離した

「私・・ここまで、どうやって・・?」

確か音楽室でピアノを聴いていて、気持ち良くなって次第に眠ってしまったまではなんとなく覚えているんだけど

「へー。やっと頭が働いてきた訳だ」
 
私の手首を掴んだ皇兄の力が強くなった

「い・痛っいよ。皇兄」

掴まれた部分に血液が集中している
皇兄の手を外そうとするが、ビクともしなかった

「痛い?ふーん」

皇兄は冷たい声でつぶやくも、腕の力は緩めなかった

な・・・に・・?

明らかにいつもと何かが違う

「こ・・にぃ・怒ってる・・の?私、何かした・・の?」

「お前、何かやったんだ」

「それが、音楽室で眠った事までは覚えているんだけど、その後が記憶が飛んじゃってて・・」

どうやって帰ってきたのだろう?音楽室には狩野先輩しかいなかったから、先輩が私を家まで送ってくれたのだろうか?
 
「もしかして、狩野先輩が私をここまで運んでくれたの?・・あっと、狩野先輩っていうのは、いつも音楽室でピアノを弾いている人ですごく上手なんだよ。優しくて、私のリクエストも弾いてくれてね」

「うるさい!! 黙れよ」

低く、でもはっきりした口調で皇兄は一喝した

そしてスクッと立ち上がり、私も腕を引っ張られ立たせられた後、部屋の壁に押し付けられた

「いきなり何するの?」

「黙れって言ってるだろ」

もう一方の皇兄の腕がのびてきて、私のもう片方の手首を掴むと壁に押し付け、両腕の自由を奪われた形となった

そして、ゆっくりと私の首筋に皇兄の顔が近づいてくる

私は目を閉じ出来るだけうつむいて抵抗した

怖い・・怖くて皇兄が見れなかった
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