神様、僕に妹を下さい

Act.004 サイド皇紀(こうき)

家を出る前、鏡越しに晶の姿をみた

人は鏡を見るとき、自分の一番自信のある表情を作ると聞いたことがあるが、無意識の内に晶も表情を作っていた

いつの間にあんな大人の表情をする様になったんだろう
水しぶきが余計女らしく見える

「はぁ 抱きてぇ」

晶の小さな身体を飽きるまで抱きしめていたい
・・・飽きることは・・きっとないだろうな・・・

オレの吐いた煙草の煙が一つの線となって空に消えていく

煙草の苦味を知ったのも、吸えば晶のことを考えなくても済むと思ったから、今じゃぁ自分の欲望の歯止めぐらいにしか・・

・・・歯止めにもなってない・・か

オレは晶と一緒にいるとおかしくなりそうで、隣町の公園のベンチに非難することが多くなった

あまり言葉も交わさないし、目も合わさない様にしているが

さすがに晶もオレの態度に疑問を持ち始めているだろう

「やっぱり、離れた方がいいのかもな」

2本目の煙草に火をつけ、空を仰ぐ

どこか・・晶のいない世界に・・・・


「副会長とあろう者が、煙草を吸うとは何事だ!」

背後で低い声がして、オレは煙草を隠すでもなく振り返った

「声色変えて、ふざけた事言ってんじゃねーよ。五十嵐 」

クラスメイトの五十嵐 潤(いがらし じゅん)が両隣に女を引き連れて立っていた

甘いルックスの五十嵐は、常に違う女をつれている

「少しは隠すとかしろよ。た・ば・こ。見つかったら副会長降ろされるぜ」

はっ・・

「その方が願ってもないことだ。副会長の座に未練なんてないね」

オレの言葉に五十嵐は肩をすくめた
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