神様、僕に妹を下さい
Act.053 サイド皇紀(こうき)
晶のやわらかい身体を抱き上げると、髪からかすかに薬品の匂いがした
保健室で休んでいたせいだろう。化粧も香水も付けない晶は、すぐに他の匂いをつけてくる
このまま抱き上げていたら、オレの匂いしかしなくなるんだろうな
このまま・・ずっと・・
30分前、玄関の扉を開けると、女物と男物の靴が並んでいた
客・・? 靴を脱ぎながら廊下の先を見ると、リビングからいつもより甲高い晶の声が聞こえる
誘われるままに、リビングに行くと狩野が晶に向かって『かわいい』といってコーヒーを飲んでいるところだった
狩野の視線に晶は言葉を詰まらせていた
狩野の言葉ではないが、オレもカワイイと思うよ
その晶をオレは精神的に苦しめた
中に入って行こうか、迷っていると
「皇ちゃんもそう思うでしょ」
オレの存在に気づいた母さんが、オレに向かって話しかけた
「玄関まで声が響いてるぜ。晶」
突然話をふられたのと、質問の意図が解らないためオレはそう答えた
「お帰りなさい。皇兄」
晶がオレに向かって声を掛けた。てっきり、無視されるかと考えていたオレは目を見開いた
「ただ・・」
「ね、ね。皇ちゃんも晶ちゃんと響さんお似合いだと思わない?」
『ただいま』と晶に答えようとするオレの声の上から、少し興奮気味の母さんが身を乗り出して聞いてきた
晶と・・狩野・・・オレは二人を交互に見た
「似合うかどうかは知らないけど、いいんじゃないの」
本当はこんな事答えたくはなかった。けれど他にどう言える?オレの嫉妬心が晶を苦しめることになるなら、自分の気持ちを隠すしかない
これ以上晶に負担を掛けることは出来ない
「カ・・カステラ、皇兄の分も切ってくる」
晶はソファから立ち上がると、キッチンへと駆けていった
「響さん、あの子まともに男の人とお付き合いしたことないから、照れちゃってごめんなさい」
「晶ちゃんの控えめなところ僕は好きです。音楽室に来ても、彼女はピアノから一番遠い席に座るんですよ」
他人だと言うだけで、オレがいえない言葉を簡単に言える狩野が羨ましいと思った
『晶が好き』と言う言葉を・・・
「コーヒー入れてくる」
会話を聞くのが息苦しくなったオレはキッチンへと逃げた
保健室で休んでいたせいだろう。化粧も香水も付けない晶は、すぐに他の匂いをつけてくる
このまま抱き上げていたら、オレの匂いしかしなくなるんだろうな
このまま・・ずっと・・
30分前、玄関の扉を開けると、女物と男物の靴が並んでいた
客・・? 靴を脱ぎながら廊下の先を見ると、リビングからいつもより甲高い晶の声が聞こえる
誘われるままに、リビングに行くと狩野が晶に向かって『かわいい』といってコーヒーを飲んでいるところだった
狩野の視線に晶は言葉を詰まらせていた
狩野の言葉ではないが、オレもカワイイと思うよ
その晶をオレは精神的に苦しめた
中に入って行こうか、迷っていると
「皇ちゃんもそう思うでしょ」
オレの存在に気づいた母さんが、オレに向かって話しかけた
「玄関まで声が響いてるぜ。晶」
突然話をふられたのと、質問の意図が解らないためオレはそう答えた
「お帰りなさい。皇兄」
晶がオレに向かって声を掛けた。てっきり、無視されるかと考えていたオレは目を見開いた
「ただ・・」
「ね、ね。皇ちゃんも晶ちゃんと響さんお似合いだと思わない?」
『ただいま』と晶に答えようとするオレの声の上から、少し興奮気味の母さんが身を乗り出して聞いてきた
晶と・・狩野・・・オレは二人を交互に見た
「似合うかどうかは知らないけど、いいんじゃないの」
本当はこんな事答えたくはなかった。けれど他にどう言える?オレの嫉妬心が晶を苦しめることになるなら、自分の気持ちを隠すしかない
これ以上晶に負担を掛けることは出来ない
「カ・・カステラ、皇兄の分も切ってくる」
晶はソファから立ち上がると、キッチンへと駆けていった
「響さん、あの子まともに男の人とお付き合いしたことないから、照れちゃってごめんなさい」
「晶ちゃんの控えめなところ僕は好きです。音楽室に来ても、彼女はピアノから一番遠い席に座るんですよ」
他人だと言うだけで、オレがいえない言葉を簡単に言える狩野が羨ましいと思った
『晶が好き』と言う言葉を・・・
「コーヒー入れてくる」
会話を聞くのが息苦しくなったオレはキッチンへと逃げた