神様、僕に妹を下さい
Act.060 サイド皇紀(こうき)
タッツ・タッツ・タッツ
背後から走ってくる足音が聞こえ、振り返った
オレの横をジャージを着たおばさんが、軽やかに走り過ぎて行く
その姿を見送りながら、息をついた
晶のはずがない・・か
晶はいつも周りをキョロキョロ観察しているせいか、一緒に歩いていてもすぐに遅れてしまう
晶の気配が消えると、オレは立ち止まって振り返る
『皇兄、待ってよ』
するとサラサラの髪を揺らしながら、真っ直ぐオレに向かって走ってくる
夢中でオレを追いかけてくる姿が、たまらなく好きで、オレはわざと晶の歩幅には合わせない
その瞬間だけ、あいつはオレの姿しか見ていないはずだから
「おはよう。桜庭君」
「え・・あぁ、おはよう」
我に返ると、狩野が先方から歩いてくる所だった
「朝、早いんだね。生徒会の仕事か何か?」
「まぁ、そんなところ」
「昨日は突然おじゃまして、夕飯までご馳走になってありがとう」
狩野は適当に返事をするオレにも、嫌な顔をせず笑顔で返してくる
「いや、こっちこそ」
晶が眠るのを待って、1階に下りると狩野たちが帰る所だった
結局、晶もオレも狩野達との夕飯に加わっていなかった
しかし、狩野は何処に行くつもりなんだ?学校は反対方向のはずだが・・
「あの、晶ちゃんの身体は大丈夫?今日は学校に来れる?」
あぁ・・・そうか、家に・・晶を迎えに行くつもりなのかもしれない
「昨日も大した事なかったが、オレが無理やり休ませた。あんた達の相手をしてやれなくて悪かった。晶なら今頃起きてるんじゃないか。迎えに行くんだろ」
オレの言葉が図星だったせいか、狩野は言葉を詰まらせた
「桜庭君が良ければ、迎えに行きたいけれど」
「良いも悪いも、オレが決める事じゃない。じゃぁ急ぐから」
オレは足早に学校に向かって歩き出した
後ろから、『ごめん。引き止めて』と狩野に声をかけられたが、無視して曲がり角を曲がった
狩野の視界からオレの姿が消えると、だんだん歩く速度が遅くなり、立ち止まる
「はぁ」
やばいな・・オレ
手のひらに汗が滲んでいる
同じ様な事が、これからも起きてくるに違いない
「あき・・ら」
晶の腕時計を握り締める
いつか・・平気で笑える日が来るのだろうか
背後から走ってくる足音が聞こえ、振り返った
オレの横をジャージを着たおばさんが、軽やかに走り過ぎて行く
その姿を見送りながら、息をついた
晶のはずがない・・か
晶はいつも周りをキョロキョロ観察しているせいか、一緒に歩いていてもすぐに遅れてしまう
晶の気配が消えると、オレは立ち止まって振り返る
『皇兄、待ってよ』
するとサラサラの髪を揺らしながら、真っ直ぐオレに向かって走ってくる
夢中でオレを追いかけてくる姿が、たまらなく好きで、オレはわざと晶の歩幅には合わせない
その瞬間だけ、あいつはオレの姿しか見ていないはずだから
「おはよう。桜庭君」
「え・・あぁ、おはよう」
我に返ると、狩野が先方から歩いてくる所だった
「朝、早いんだね。生徒会の仕事か何か?」
「まぁ、そんなところ」
「昨日は突然おじゃまして、夕飯までご馳走になってありがとう」
狩野は適当に返事をするオレにも、嫌な顔をせず笑顔で返してくる
「いや、こっちこそ」
晶が眠るのを待って、1階に下りると狩野たちが帰る所だった
結局、晶もオレも狩野達との夕飯に加わっていなかった
しかし、狩野は何処に行くつもりなんだ?学校は反対方向のはずだが・・
「あの、晶ちゃんの身体は大丈夫?今日は学校に来れる?」
あぁ・・・そうか、家に・・晶を迎えに行くつもりなのかもしれない
「昨日も大した事なかったが、オレが無理やり休ませた。あんた達の相手をしてやれなくて悪かった。晶なら今頃起きてるんじゃないか。迎えに行くんだろ」
オレの言葉が図星だったせいか、狩野は言葉を詰まらせた
「桜庭君が良ければ、迎えに行きたいけれど」
「良いも悪いも、オレが決める事じゃない。じゃぁ急ぐから」
オレは足早に学校に向かって歩き出した
後ろから、『ごめん。引き止めて』と狩野に声をかけられたが、無視して曲がり角を曲がった
狩野の視界からオレの姿が消えると、だんだん歩く速度が遅くなり、立ち止まる
「はぁ」
やばいな・・オレ
手のひらに汗が滲んでいる
同じ様な事が、これからも起きてくるに違いない
「あき・・ら」
晶の腕時計を握り締める
いつか・・平気で笑える日が来るのだろうか