神様、僕に妹を下さい

Act.061 サイド晶(あきら)

沢村双葉。1年2組で二日前に皇兄に告白した人

直接は会ってないけど、確か皇兄に『軽く断わられた』って言ってた。その後に『また告白してみるつもり』とも言っていたっけ

あの後、告白したのかなぁ
それで皇兄、OKしたのかなぁ

プリクラ・・皇兄は彼女とで、私は一人で写すって事?

一人プリクラなんて、寂しすぎるよ。萌ちゃんに付き合ってもらおう

その萌ちゃんは、2組に情報収集だと言って今はいない

 
「さくらにわ、おーい、にわ」

「にわ、にわ うるさいなーもう。それに『さくらにわ』じゃなくて『さ・く・ら・ば』です。『ば』なの」

何度言ったらわかるの、こいつは

クラスメイトのこいつ、桜場(さくらば)とは『庭』と『場』の一文字違いで、同じ『さくらば』だから、勝手に私の名前の方を『さくらにわ』に変えて呼んでいた

声が大きいせいで『さくらにわ』という呼び方は、入学して3日後にはクラス中に広まった

「いいだろ、同じ呼び名だと紛らわしいし、クラスにも定着してるしよ」

誰が定着させたのよ。担任の先生までそう呼んでるじゃないの

「で、何か用?」

「俺の代理で、昼休みの図書室の当番、代わりに行ってくれない?」

「なんで、私が?」
 
桜場は軽やかにリフティングをし始めた。まったく、サッカー馬鹿で片時もサッカーボールを手放さないんだから

「男子全員は昼休みにサッカーをするだろ、女子はお前以外、話せるような雰囲気じゃないしな。女って好きだよなぁ、ウワサ」

「あ・うん」

私は曖昧に返事をした。噂話の中心は皇兄と沢村双葉の事なんだよね

「昼に図書室の受付に行けよ。じゃ頼んだぜ」

「ちょっちょっと」

「今日のシュートは、すべてお前に捧げるぜ」

いや、捧げなくて良いって
桜場は私に向かって、ウインクすると去って行った

桜場と入れ替わりに萌ちゃんが2組から帰ってきた

「どうだったの?」

「見た子がいたの。二日前、皇紀先輩が沢村双葉を背負って帰った所」

「はぁ」

「暗くて顔までは見てないらしいけど、本人が自分だって言ってるみたいなのよね」

二日前って、皇兄の様子がおかしかった日だ。もしかして、この事が原因?

だめ、だめ。あの日の事は忘れるって決めたんだもの
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