神様、僕に妹を下さい
Act.062 サイド皇紀(こうき)
「手紙が5通、呼び出されて告白が11人・・と、もてる男はつらいですなぁ」
ポケットサイズの手帳を開きながら、五十嵐がどオヤジ口調で読み上げた
「うるせーよ」
まったく、今日はいったいどうなっているんだ?朝から休み時間の度に呼び出される始末
「桜庭君、呼んでるよ」
クラスの女子がオレに声をかけた
「はい、はい、告白が12人・・と。行ってらっしゃい」
五十嵐は手帳にメモを書くと、手を振った
「・・・」
教室の入口に行くと、知らない女子が立っていた
「1年5組 井村加奈(いむらかな)桜庭先輩が好きです」
・・と顔を紅潮させ、うつむきながら告白してきた
五十嵐ではないが、これで何回目だ?しかも毎回、フルネームを名乗って来る
「付き合ってもらえませんか?」
「オレ今は、」
「やっぱり、沢村さんと付き合うからなんですね」
「は?」
井村という女子は最後まで、顔を上げず走り去って行った
そして、決まって『沢村双葉』この名前が毎回出てくる
「五十嵐、沢村双葉って誰?」
情報通の五十嵐なら、知っているはず
「ゲホッツ、ゲホッツ。何言ってんだ。冗談だろ」
野菜ジュースでむせる五十嵐
「この前、校門前で告白してきた子だろ。覚えてないの?だから告白してくる子も、みんなフルネームで来てるだろ」
「あぁ」
そういえば、人前で堂々とフルネームで告白してきた女がいたな
「でも、断わったはず、お前も側にいただろ。なのになんでこんな」
話の途中で、またも、女子の呼ぶ声が飛んだ
「桜庭くーん。1年の子が来てるよ」
またかよ
「皇紀、呼んでるよん」
「後はお前に任せた。これじゃ、おちおち昼休みも過ごせない。図書室に行って来る」
図書室に向かう途中も何人かに声をかけられたが、聞こえない振りをした
本校舎から出て渡り廊下を渡った別館に図書室はあった
ここなら、ゆっくり落ち着けるだろう
ガラッと引き戸を開けると同時に
「あっ、桜庭君」
と女の悲鳴に似た声がオレに飛んできた
「お願い。助けてくれない」
良く聞くと、それはクラスメイトの松井の声
松井は、受付で忙しそうにパソコンのキーを叩いていた
ポケットサイズの手帳を開きながら、五十嵐がどオヤジ口調で読み上げた
「うるせーよ」
まったく、今日はいったいどうなっているんだ?朝から休み時間の度に呼び出される始末
「桜庭君、呼んでるよ」
クラスの女子がオレに声をかけた
「はい、はい、告白が12人・・と。行ってらっしゃい」
五十嵐は手帳にメモを書くと、手を振った
「・・・」
教室の入口に行くと、知らない女子が立っていた
「1年5組 井村加奈(いむらかな)桜庭先輩が好きです」
・・と顔を紅潮させ、うつむきながら告白してきた
五十嵐ではないが、これで何回目だ?しかも毎回、フルネームを名乗って来る
「付き合ってもらえませんか?」
「オレ今は、」
「やっぱり、沢村さんと付き合うからなんですね」
「は?」
井村という女子は最後まで、顔を上げず走り去って行った
そして、決まって『沢村双葉』この名前が毎回出てくる
「五十嵐、沢村双葉って誰?」
情報通の五十嵐なら、知っているはず
「ゲホッツ、ゲホッツ。何言ってんだ。冗談だろ」
野菜ジュースでむせる五十嵐
「この前、校門前で告白してきた子だろ。覚えてないの?だから告白してくる子も、みんなフルネームで来てるだろ」
「あぁ」
そういえば、人前で堂々とフルネームで告白してきた女がいたな
「でも、断わったはず、お前も側にいただろ。なのになんでこんな」
話の途中で、またも、女子の呼ぶ声が飛んだ
「桜庭くーん。1年の子が来てるよ」
またかよ
「皇紀、呼んでるよん」
「後はお前に任せた。これじゃ、おちおち昼休みも過ごせない。図書室に行って来る」
図書室に向かう途中も何人かに声をかけられたが、聞こえない振りをした
本校舎から出て渡り廊下を渡った別館に図書室はあった
ここなら、ゆっくり落ち着けるだろう
ガラッと引き戸を開けると同時に
「あっ、桜庭君」
と女の悲鳴に似た声がオレに飛んできた
「お願い。助けてくれない」
良く聞くと、それはクラスメイトの松井の声
松井は、受付で忙しそうにパソコンのキーを叩いていた