神様、僕に妹を下さい

Act.063 サイド皇紀(こうき)

「助けるって何やればいい?」

松井には、晶を保健室まで連れて行ってもらった恩がある

それに何かしている方が、晶の事を考えなくて済んだ

「今、返却された本をパソコンに入力してるから、終わったものから本棚に片付けてくれない」

「あぁ、いいよ」

山積みになった本を台車に乗せる

「桜庭君、お昼は食べた?ここにサンドイッチがあるけど食べる?」

「いや・・松井こそ、図書当番て一人でやるのか?」

「それが1年の当番が来ないのよ、何やってるのかしら。やだ、キー押し間違えた」

キーボードに八つ当たりする松井を横目に台車を押し始めた

あいつも大変だな。お互い1年には迷惑を掛けられる運命なのかもな

本に記入されている記号を見ながら、片付け始めた

一番上の棚はオレの背丈で丁度届く高さだから、150cmの晶は脚立が必要だな

『背が届かないっ!皇兄、いつものお願い』

よく頼まれて、後ろから持ち上げてやったっけ
そして『えいっ』・・と叫んで体操選手の様に飛び降りていた
オレは怪我をするんじゃないかと内心冷や冷やで

結局、晶の事を考えてしまっている


「疲れた・・」
ポツンと呟くオレの元に松井が駆け寄ってきた
 
「ごめん桜庭君。疲れてたのに手伝わせて。あっちは終わったから」

「こっちも終わったよ」

「助かったわ。校内の有名人に手伝って頂けて、光栄です」

「茶化すなよ」

「この前、嘘つかれたお返し。でも顔色良くないわよ。サンドイッチ本当にいらない?」

「いい」

昨日の夜からコーヒーしか飲んでいないのに、不思議と食欲は沸いてこなかった



ピン・ポン・パン

スピーカーから鉄琴の音が鳴った

『えー。マイクのテスト中や。聞こえてるか?』

聞いたことのある関西弁の口調

オレと松井はスピーカーに注目していた

『こーちゃん、もとい、桜庭 皇紀 至急生徒会室まで来たってや。急ぎやで、こーちゃん』

クスクスと松井が笑っている

あのバカ、館内放送で『こーちゃん』と呼ぶな!

「今の生徒会長でしょ。関西の人だっけ?」

「関西弁に凝ってるんだよ。たくっ」

舌打ちすると、松井と別れて生徒会室に向う

入れ違いで、晶が図書室に来たことを知らずに・・
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