神様、僕に妹を下さい

Act.064 サイド晶(あきら)

と・図書室ってどこなの?本にあまり?いやほとんど縁のない私は、入学当初に行ったきりだった

やっと、図書室に着いたときには昼休みの半分が過ぎていた

「すみません。遅くなりました」

「ちょっと、今何時だと思ってるの!」

引き戸を開けて、第一声に浴びせられたのがこの言葉

「ご・・ごめんなさい。道に迷ってしまって」

深々と頭を下げた

図書当番を押し付けた桜場の言う『近道』を信じたのがバカだった

お昼だって、まだなのに

「あの・・私何をすれば・・」

恐る恐る顔をあげると『あら?』とさっきの声の主が疑問符を投げかけた

「あなた・・昨日の・・」

「え?」

受付には、昨日私を保健室まで運んでくれた2年の先輩が立っていた

「もう、大丈夫なの?」

「はい、昨日はありがとうございました」

生物の授業で気分の悪くなった私に逸早く気付いてくれた優しい先輩

「私、お礼を言おうと思ってたのに、遅くなってしまって」

おまけに、図書当番の時間まで遅れてしまった・・

「いいわよ。女って大変よねぇ」

「そうですよねぇ」

お互い言い合って笑いあった

「その分だと、お昼も食べてないでしょ。サンドイッチ、あるけど食べる?」

「良いんですか?」

遠慮がちに言うも、顔は輝いた

「どうぞ。こっちに座ったら。丁度、落ち着いた所だから」

受付の奥に二人がけのテーブルがあり、私達はそこに腰掛けた

早速、ゆで卵サンドから手を付け始める

「おいしい。おいしいよー」

ポロポロ、パン屑をこぼしながらも3口で一片を食べてしまう

先輩は笑みを浮かべながら、サラダに手をつけていた

「あいつも遠慮せずに食べていけば良かったのに、忙しいんだろうけれど」

あいつ?

「他に図書当番の人いたんですか?」

「違うんだけどね。あぁ、でも最初にあなたの体調に気付いたのもあいつなの。さっきまでここにいたから、もう少し早ければお礼言えたのにね」

「その人って」

ピン・ポン・パン
私の声を遮って、館内放送がなった

『あーあー 桜庭、桜庭皇紀。至急生徒会室まで、ダッシュやで』

皇兄が呼ばれてる

「最初にあなたの体調不良に気付いたはね、桜庭君なの。さっきまでここで本の片づけを手伝ってくれたんだけど、この放送に呼ばれて行ってしまったわ。大変よね・・」

先輩は気の毒そうに肩をすくめた
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