神様、僕に妹を下さい

Act.067 サイド皇紀(こうき)

ようやく?オレにとって今日は長く感じる授業も終わり、クラスメイトはそれぞれの目的で散って行った

「皇紀、直帰?」
五十嵐が帰り際、振り向きざまに聞いてきた

「いや、生徒会長に呼ばれてるから、それは無理」
 
呼ばれていなくても、最初から帰るつもりもないけどな
晶と顔を合わせたくない

「昼休みに用件、済んだんじゃないの?こーちゃん」
  
「その呼び方はやめろ」
上目遣いで五十嵐を睨む

バカな生徒会長が全館放送でオレのことを『こーちゃん』と呼んだものだから、五十嵐もそれに倣って言ってくるからたちが悪い

オレはため息をはいた

「行かなかったんだよ。生徒会室」
正確にはたどり着けなかったと言った方がいい

生徒会長に呼び出され、生徒会室の手前までは行ったはいいが、ドアの前には女の集団が群がっていた

『桜庭先輩来るかしら?』
『こーちゃんって呼ばれてるのね。カワイイ』

などの声が集団から漏れていた
冗談だろ・・
それを目の当たりにした途端、嫌悪感が走り後戻りで帰ってきてしまった  
あの後も、何回も全館放送が鳴っていたけどな

「女って・・疲れるよな・・」
パワフルというか押しが強いと言うか・・
今日つくづくそう感じた。晶以外の女に言い寄られるのがこんなに苦痛とは思っていなかった
 
「彼女達も自分の気持ちを伝えるのに必死な訳よ。何とかお前を振り向かせようとしてさ。カワイイじゃん」
にんまりと笑う五十嵐
 
カワイイ・・カワイイか?
オレには到底、理解できないが・・・

「はい、これ。皇紀がいない間、預かった手紙とメールアドレス」
手のひらに手紙の束を掴まされた

「いらねーよ」
もらったって、いつもゴミ箱行きだしな

「じゃ、俺はちゃんと女の子からの預ものを皇紀に渡し、その後に皇紀からの返事をもらったって事で、傷つかない程度に断わっといてやるよ」

五十嵐は手紙の束を掴みひらひらと手を振って帰って行った

あいつ、女はとっかえひっかえだが、修羅場になったとは聞いたことがない
五十嵐に任せておけば大丈夫だな。とりあえず、感謝・・と

さて、不本意だが生徒会室に行きますか
 
今度は何を言ってくるのか?あの生徒会長は・・
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