神様、僕に妹を下さい

Act.008 サイド晶(あきら)

「晶ちゃん・・?」

箸を止めた私にお母さんは『どうしたの?』と続けた

「私 残り半分、皇兄と食べる事にする。やっぱり一人って寂しいよね」

「やさしいのね。晶ちゃんは 」

まぁね。たった二人の兄妹だし・・とは表向き 
 
皇兄には後で宿題&チーズケーキの味見をしてもらいたいから・・

お母さんはこの通り、優しい人だから 味見をお願いしてもまずくても『美味しい』ってう人
それはそれで嬉しいけど、他人にあげる以上はっきり言ってもらうのも大事

その点、お父さんゆずりの味覚を持っている皇兄ははっきり言ってくれる

恐ろしいほどにね

「あと、そろそろ譲さんに荷物を送るから晶ちゃん達も準備しておいてね」

「え・・あぁ。うん」

お母さんの『お願い』に私は曖昧に返事をした

毎月、桜庭家の近況なるものをお父さんに送る事になっている

それはそれでかまわないんだけど、荷物の中に必ずプリクラを入れる事がお約束になっていた

私だけのプリクラだけなら特に問題ないけど

「やっぱり、プリクラじゃなきゃだめ?」

だめだと解かっていても聞いてしまう

「譲さん、楽しみにしてるの。携帯や手帳に張るのが楽しみだって」

「あ・・そう。わかった。でも・・あまり期待しないでね」

プリクラの条件は私と皇兄が二人で写っている事だった
『できれば、コスプレ付き』というのがお茶目なお父さんの条件

私は良いとして、皇兄がそんな条件を飲むわけがない

今まではお父さんのため!と、何とか写してきたけど
最近の皇兄をプリクラまで連れて行く自身ないよ・・
 
皇兄の機嫌の良い時を見極めないと


バタン

玄関の方で物音がした

皇兄かも!

椅子から立ち上がると小走りで玄関へ行く

「皇兄、お帰りなさーい」

「あぁ」

玄関ポーチの電気が付いて無かった為、窓からの街頭の明かりが皇兄のシルエットを写していた

逆光のせいで顔が見えない

「ごめん、暗いね。電気、電気と」

手探りでスイッチを探そうとする私に『このままでいい』と皇兄は制止する

「でも・・」

「いいって言ってるだろ!」
 
皇兄の低くて冷たい声が響いた
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