神様、僕に妹を下さい

Act.096 サイド晶(あきら)

「きゃぁぁぁ」
 けたたましい叫びが耳の中に響き、その声で私は起き上がった

 「な・・何事?」
 うつろな目で部屋を見渡すと、お母さんが両手を頬に当て青ざめていた

 「なんだ。お母さんか。驚かさないでよ」
 時計を見ると朝08:30を過ぎている
 今日は土曜日で学校もお休みだから、もうちょっと眠っていようと考えていたのに・・目が覚めちゃったよ

 「こ・・これが、驚かずにいられる!?何なのその酷い顔は!!」
 娘に向かって、酷い顔だなんて、お母さんの方が酷くない?

 ベットから起き上がり、引出しの中の手鏡で顔を見る
 左頬と顎、右の額の部分の痣が紫色に変色していた

 「ありゃ。結構酷い」

 額は前髪で隠れるとして、左頬と顎はどうしよう

 「『酷いや』じゃないでしょう。何があったの!」
 
 「何って・・ケンカしたの」
 
 「ケ・ケンカって、あなたは女の子なのよ」
 お母さんは半分倒れそうな状態になっていた

 昨日は、あまりにも疲れていたせいで、学校から帰宅後一直線に部屋に入りお母さんには顔を合わせなかったのだ
 この顔を見たら、ねほりはほり聞かれるのは分かりきっていたから

 「でも、相手も女の子だよ」

 「そういう問題じゃないでしょ。後遺症が残ったらどうするの!」
 後遺症・・て大袈裟な

 「学校に抗議するわ。譲さんがいない今、晶ちゃんを任されているのはお母さんなのよ」
 譲さんとは、単身赴任中のお父さんの事。まぁ、私だってお父さんにこの顔を見せたくないけど・・

 「やめてよね。そんな事をしたら、皇兄にバレるじゃない」

 「晶ちゃんがこんな風になっているの皇ちゃん知らないの!?」

 「そうだよ。皇兄今、生徒会の予算の件で忙しいからあまり邪魔したくないの」
 
 「邪魔って、妹がこんな目にあって、黙っている様な兄だったらお母さんが黙っていないわ」

 「でも、今回は黙っていてよ。もし皇兄に言ったら、私この顔でプリクラを撮って、お父さんに送りつけるからね」
 半分脅しで、お母さんを睨む

 「あ・・晶ちゃん」

 「私今日は、この部屋から出るつもりないから、皇兄に何か聞かれたら適当に言っといてね。さぁ、もう一眠りしようっと」

 何か言いたそうなお母さんを部屋から追い出し、ベットに潜り込んだ
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