神様、僕に妹を下さい
Act.099 サイド皇紀(こうき)
違和感のひとつ
晶は、常に相手の目を見て返事をするはずなのに、まったくオレのほうを見ない事
鏡台の上にあるブラシを掴みながら、晶の顔を覗き込んでみると、軽く目を閉じ、口元はしっかり結んでいた
まるで、何かから見つからない様に隠れている子猫の様に
さっき、母さんと言い争っていた姿が微塵も感じられない
オレのせいなのだろうか・・?
「晶、顔を少し上げて」
「あ・はい」
晶のストレートの髪を毛先からほぐし、前髪も合わせて全体にと梳かしはじめた
茶色のサラサラの髪は、絡まることなく、ブラシ通りも滑らかで心地いい
「どうしたい?」
「えっと、前髪は残してほしいの。後はお任せします」
普段も前髪は目にかかるため、あげている筈なのにめずらしい
形の良い額を出していた方が、晶らしくて良いと思うが・・
頭の中心で髪を2つに分け、徐々に髪を編みこんでいく
昔、この髪に触れたくて、こうして良くアレンジをしたものだ。あの頃に比べたら髪も随分伸びた。今では肩下10cmの長さになっている
「なぁ、いつから髪を伸ばし始めたんだっけ?」
ついそんな言葉が口から出ていた
「えっと、小学4年くらいだったと思うけど・・時々毛先だけ揃えているから、今はこの長さが定着しているの」
晶は完全に顔を上げると、鏡越しにオレの方を見て『あっ』と叫んだ。そして数回瞬きをして、口を噤んだ
「お前・・化粧してる?」
オレもつられて瞬きをした
産まれてこの方、七五三以外に晶が化粧を施した姿を見たのはこれが初めてだった
晶にしても、匂いが鼻にまとわりついて、化粧は出来ないと言っていたから・・
「へ・・変かな?」
「母さんから聞いた。狩野と出かけるんだって?気合入ってるじゃん」
編み込みした髪をうなじの上の部分でひとつにまとめながら、軽く流すように答えた
オレに何を言わせたい?
好きな女が別の男の為に化粧をしてるのが分かって、言える訳がない
『綺麗だよ』だなんて。それくらいの抵抗はさせてくれてもいいだろ
「気合なんてそんな・・私だって好きでしてる訳じゃないもん。だけど今日は・・今はせざる終えなくて、化粧で隠さないと、皇兄に会えないから・・」
晶は両手で自分の顔を覆い隠した
晶は、常に相手の目を見て返事をするはずなのに、まったくオレのほうを見ない事
鏡台の上にあるブラシを掴みながら、晶の顔を覗き込んでみると、軽く目を閉じ、口元はしっかり結んでいた
まるで、何かから見つからない様に隠れている子猫の様に
さっき、母さんと言い争っていた姿が微塵も感じられない
オレのせいなのだろうか・・?
「晶、顔を少し上げて」
「あ・はい」
晶のストレートの髪を毛先からほぐし、前髪も合わせて全体にと梳かしはじめた
茶色のサラサラの髪は、絡まることなく、ブラシ通りも滑らかで心地いい
「どうしたい?」
「えっと、前髪は残してほしいの。後はお任せします」
普段も前髪は目にかかるため、あげている筈なのにめずらしい
形の良い額を出していた方が、晶らしくて良いと思うが・・
頭の中心で髪を2つに分け、徐々に髪を編みこんでいく
昔、この髪に触れたくて、こうして良くアレンジをしたものだ。あの頃に比べたら髪も随分伸びた。今では肩下10cmの長さになっている
「なぁ、いつから髪を伸ばし始めたんだっけ?」
ついそんな言葉が口から出ていた
「えっと、小学4年くらいだったと思うけど・・時々毛先だけ揃えているから、今はこの長さが定着しているの」
晶は完全に顔を上げると、鏡越しにオレの方を見て『あっ』と叫んだ。そして数回瞬きをして、口を噤んだ
「お前・・化粧してる?」
オレもつられて瞬きをした
産まれてこの方、七五三以外に晶が化粧を施した姿を見たのはこれが初めてだった
晶にしても、匂いが鼻にまとわりついて、化粧は出来ないと言っていたから・・
「へ・・変かな?」
「母さんから聞いた。狩野と出かけるんだって?気合入ってるじゃん」
編み込みした髪をうなじの上の部分でひとつにまとめながら、軽く流すように答えた
オレに何を言わせたい?
好きな女が別の男の為に化粧をしてるのが分かって、言える訳がない
『綺麗だよ』だなんて。それくらいの抵抗はさせてくれてもいいだろ
「気合なんてそんな・・私だって好きでしてる訳じゃないもん。だけど今日は・・今はせざる終えなくて、化粧で隠さないと、皇兄に会えないから・・」
晶は両手で自分の顔を覆い隠した