お義母さんは、とても驚いていた。



つい昨日まであんなに退院に反対していたんだから、当然だ。



でも、これが私の答え。



事故前と同じように、ふたりだけで暮らしたい…―



お義母さんは、私が大真面目であることを悟ると心配そうに言った。



「それは…夫婦なんだから、もちろんいいけど…でもミオちゃん、退院のことは…」



もう一度相談しましょう、と言いかけたお義母さんをさえぎる。



「私、昨日家に帰ってから考えました。やっぱり、先生やお義母さんが言ってたこと、正しいと思います」



あのときは突然のことで頭に血が上ってしまったけれど、冷静に考えれば、すぐにわかることだった。



「だから今までどおり、あのマンションでふたりで生活して、記憶が戻るのを待ちたいんです」



そして、正社員として働いていた会社を辞める決心をしたことを話した。





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