仕事を辞めることにしたのは、アルバイトのほうが自由な時間がとれるからだ。



何かあったとき、すぐに動けるようにしておきたかった。



もちろん収入は減るけれど、今までの蓄えや退職金で、しばらくなんとかなりそうだし。







それだけのことを一気に言って、私はお義母さんの反応を待った。



もしかしたら、やっぱりふたりだけというのは心配だ、と反対されるかもしれない。



でも私は昨日の夜、じっくりじっくり考えて、妻である私にできることはこれだと思った。



お義母さんなら、きっとそれをわかってくれる。



お義母さんは、しばらく何か考えこんでいるようだったけれど、やがて小さな声で、



「ありがとう」



と言った。



お義母さんの目には、うっすら涙が浮かんでいた。





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