それからどれくらい経っただろう。



私たちは、島から出るフェリーの最終便に乗って本島まで渡り、再びレンタカーで来た道を戻った。



私は、疲れたのか癒されすぎたのか、車が動き出して間もなく眠ってしまい、運転は彼に任せっぱなしになってしまった。



やがて目が覚めると、車はすでに那覇の国際通りの真ん中を走っていた。



「うわぁ、リュウくん、ごめんね。すっかり寝ちゃったぁ」



寝起きでロレツがうまく回らない。



運転席の彼の顔が、街の光に照らされている。



「ああ、起きたの?別に気にしなくていいよ。もうすぐホテルだよ」



―…私は、彼のこういうときの声が好きだ。



砂浜ではしゃいでいたときの子供みたいな声もいい。



けれど、こういう静かな空間で聞く声は普段よりもちょっと低くて、ゆっくりと話す彼の雰囲気に、とても合っている。






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