結婚式のDVD撮影は、あの同僚4人が引き受けてくれた。



とくにニコさんが、そういう機器を触るのが好きとのことだった。



あの穏やかな笑顔からは、ちょっと意外な気がしたのを覚えている。



式が終わって一ヶ月くらいしてから、編集済みのDVDを受け取った。



彼と私の実家用、そして今ここにあるのは、私たち用のスペシャル編集版だそうだ。



実は、私たちはまだそれを見ていない。



なんという恩知らずなことだろう。



でも、なぜか彼が見たがらなかったのだ。



ミオがひとりのときに見て、と言われてケンカっぽくなって、



「せっかくの思い出なのに見たくないなんて」



とふくれっつらをする私を、彼が懸命になだめていた。







私はDVDを手に持って、しばらく考えた。



―…映画も観たいけど。



でも結局私は透明ケースだけを持ってリビングに戻り、DVDプレーヤーの電源を入れた。





< 150 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop