後方の扉が開いて、温かい拍手の音が響く。



その音に続いて、新郎がゆっくりと歩いてきた。



ついに、始まった。



でもまだ遠すぎて、新郎の顔はよくわからない。



そういえば、私はこのとき会場の外で待機していたから、彼が入場してきたときの様子を知らない。



一体、どんな表情をしているのだろう。



緊張してるんだろうな。



夢中になって画面を見つめていると、だんだん彼の姿が大きくなった。



そして、カメラがズームになって、顔がはっきりと映し出される。







アップになった彼の顔を見た。



そのとき…―



私は、なにか重いもので胸を押しつぶされたようになって、息が苦しくなった。






リュウくんだ…。









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