久しぶりの彼との再会は、DVDとはいえジーンとくる。



一時停止している笑顔をずっと眺めていたいけれど、最後まで見なくちゃ、と再生ボタンを押す。



彼が、再び挨拶の続きを始めた。



最初こそ動揺したけれど、やっと気持ちも落ち着いて、穏やかに見ることができるようになった。



彼は、緊張で、ちょっと声が上ずっているみたいだ。



もったいないな、晴れの舞台で。



しかも記録に残ってるのに。



私はニヤニヤしながら、またビールに口をつけた。



そういえば、夏のビールのおいしさを教えてくれたのは彼だった。



「とくに風呂上りは最高だよな!」



と、よく言っていた。



今は全然飲まないけれど。



あれはあれで、未成年ということになるのかなぁ。



でも、体は30歳だから、飲んでもいいのかなぁ。



でも心が子供だと、酔うと行動に責任が持てないからダメなのかなぁ…。



あー…。



変なこと考え始めたら、眠くなってきちゃったなぁ…。





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