声
結婚式のこと
◎



２００９年１月１７日。



待ちに待った、という感じでもなく。



えっ、もう？



という感じの、結婚式当日。



前日の夜はとても寒くて、ニュースでは明け方までに雪のちらつくときがあると言っていた。



ウェディングドレスは肩出しのデザインなのに、明日もこんなに寒かったらどうしよう。



式のことよりも、気温ばかりが気になって、あまり眠れなかった。



それでも、朝起きてカーテンを開けてみると、まだ７時前で薄暗かったけれど、東の空にきれいな朝焼けが見えたので、安心した。



人生に一度きりの結婚式。



晴天なら、言うことなしだ！



あとは、バージンロードをうまく歩けますように。



ドレスの裾を踏みませんように。



誓いの言葉で声が裏返りませんように。



指輪がスムーズにはまりますように。



…。



全然「言うことなし」ではないようだ。



だけど、まあ、なるようになるだろう。



とりあえず寒いので、エアコンのスイッチを押した。



型が古いせいか、この部屋のエアコンは、起動するまでにずいぶん時間がかかる。



でも、コレとも今日でお別れ。



私は結婚後の生活に向けて、昨年末にこの実家を出て、彼と暮らし始めている。



昨日は結婚式前日ということで、いろいろ忙しくなるから実家に泊まらせてもらったのだ。



でも、ここから徒歩圏内のマンションに新居をかまえたので、今後は行き来することはあっても、もうこの部屋で寝ることはなくなるだろう。



そう思うと、この鈍くて使いづらかったエアコンすら、愛おしく思えてきた。





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