ぬるま湯で顔を洗って、ふたたびリビングに戻った。



「パパは?」



「お父さんね、昨日も遅かったからまだ寝てる。会場で会おうって言ってたわよー」



どうも我が家は、一人娘を嫁に出すということに対して、感覚が一般的ではないような気がする。



おととし結婚した友達は、いよいよこの家を出るのだと思うと胸がいっぱいになって、涙が止まらなかった、と言っていた。



そこまでいくと、ちょっと私の家族のキャラではないけれど。



でももう少し、「元気でやれよ」とか「寂しくなるな」とか、「いつでも帰ってこいよ」とか(これはあまり良くないか)、言ってくれたっていいと思う。



「そんなこと言ったって、結婚するって言って二年もたってるしねぇ。
リュウくんだって知らない仲でもないし、新居はすぐ近所だし、お母さんたちに言わせれば、ああやっとなのね、って感じだもの」



…まあ、それもそうか。






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